埋もれた観光資源を広める手伝いを-道の駅「新潟ふるさと村」館長 宮崎俊麿氏
団体旅行の受け皿を襲ったコロナ禍
佐渡の世界遺産登録とトキエア就航に期待
新潟市西部に位置し、新潟の旬の味覚や伝統工芸品を取り揃える県下最大級の道の駅、「新潟ふるさと村」。敷地内には子どもの遊び場やイベント会場、四季折々の花を楽しめる花畑もあり、国内外の団体客に親しまれてきた。コロナ禍で訪日客が途絶え、イベントも次々と中止となるなか、団体客を主体としてきた大型施設はどのように変わろうとしているのか。館長の宮崎俊麿氏に話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
宮崎俊麿氏(以下敬称略) 道の駅「新潟ふるさと村」は、1991年に新潟県によって設立され、昨年30年を迎えました。設立の目的は、 新潟県の観光と物産の情報発信基地となることです。 新潟ふるさと村には、歴史や文化、観光情報を紹介する「アピール館」と、県産品の販売・宣伝や催事等を行う「バザール館」があります。以前は県が管理していましたが、指定管理者制度が導入され、現在はバザール館を株式会社新潟ふるさと村が、アピール館を愛宕商事・グリーン産業共同体が運営し、道の駅全体もアピール館が管理しています。
私はもともと新潟県庁の産業労働観光部などにいました。県庁を辞めた後は環日本海経済研究所に籍を置いていたのですが、指定管理者制度の導入に伴い、要請を受けて新潟ふるさと村アピール館の館長に就任しました。
宮崎 来場者数としては約3割減ですが、売上や客単価はそれ以上に落ち込んでいます。というのは、バザール館の売りは、500人が一斉に食事ができる広い会場にあるからです。今どきここまでの規模の施設はなかなかないと思いますが、コロナ以前は、団体のお客様がバザール館で食事をして、買い物をして、温泉に行く、という形態での利用が多くありました。特に台湾からなどのクルーズ船が新潟港に寄港すると、1万人ほどがやって来て買い物をしていくので、単価は上がりました。
NHKや地元のテレビ局が企画する祭りや、 佐渡の鬼太鼓(おんでこ)、節分の豆まきなどの催し物も全く開催できなくなり、イベントも大きく減っています。
一方で、修学旅行の行き先が近場に変わったことで、福島や群馬、長野など、様々な地域の学校が来てくれるようになりました。修学旅行に何とか助けられている状況です。ただ、やはり修学旅行生はお土産に掛けるお金も限られます。当館で売上が大きかったのは酒類や水産物なので、来場者数は増えても単価は大幅に下がり、売上も5割ほどに落ち込んでいます。
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