日本のOTAは復調傾向か、今後の注目は「メタバース」-WiT JAPAN 2022
JTB:ホスピタリティをデジタル化、OMO戦略で差別化へ
JTBについては、柴田氏が同社が取り組んできたオムニチャネル戦略について質問。これに対し、盛崎氏は「コロナ禍における非接触の傾向からすると、店舗でのお迎えが難しい状況が続いた」と振り返った。
今後も同様の傾向が続く予想のなか、JTBではオンラインでのサービス向上に注力しながら、オムニチャネルを進化させ、オフラインとオンラインを融合させるOMO戦略に取り組むことで他社との差別化と競争力の強化をめざす。盛崎氏は「JTBのもつホスピタリティをデジタル化して、オン+オフで細分化したニーズに的確に答えることで、結果的にはオンライン専業社と比較した場合に独自の非常にユニークなポジショニングが可能だろう」と話した。
また、同社の21年12月はダイナミックパッケージを含めるパッケージツアーの実績が19年比200%超だったことを説明。ダイナミックパッケージは消費者の選択が広がるとともに、サプライヤーが縦横無尽に対応できる「パッケージの進化系」であるとし、ダイナミックパッケージの好調が200%超の大きな要因であることを説明した。
民泊急拡大は「ノー」、注目は「メタバース」
このほか、柴田氏が1問1答でさまざまな質問を実施。欧米で急速に拡大する民泊については、各社とも「日本では拡大しない」との見解を示した。高野氏は「民泊がどうかというよりプライベートの空間を安心・安全に楽しめ、長期滞在できることがお客様にうけているのでは」とし、宿泊施設がニーズに的確に対応したプランを提供することが重要とした。また、「自分が総理だったら現在の水際対策は続けるか」という質問については、高野氏が「オミクロンの重症化率が低く、海外と欧米の比較からすると日本の外国人禁止、帰国者の隔離期間の長さは厳しいと考えている」と話し、「科学的に見て重傷者が少ないなら適切な対応をしていくべき」とコメントした。
「注目しているテクノロジー」についての質問については、一休、JTB、リクルートの3社が「メタバース(オンライン上の仮想空間)」と回答。2024年には市場規模が90兆円に拡大する見込みのメタバースは、「VR海外旅行」などすでにサービスを開始している会社もあり、各社とも注目している様子がうかがえた。
「旅行におけるサブスクリプションモデル」については、高野氏が「まだ難しい」と答えた一方、盛崎氏は「ありです。具体化する」と回答。宮田氏は「新体験の提供が可能では」、巻幡氏は「期待している」と回答した。
このほか「ビジネストラベル」については巻幡氏が「一定の需要はある」と前向きな回答。盛崎氏は「移動自体は減るのでワーケーションやシェアリングエコノミーに移行するのでは」との考えを示した。最後に岸田政権については、高野氏が旅行業界への支援を、巻幡氏がコロナに対する冷静な判断をも要望。宮田氏もコロナ対策と経済復興に期待を示した。