ドイツ、2022年の日本人渡航はコロナ前の3割を想定、SNSを新たなキャンペーンに活用
ドイツ観光局(GNTB)はこのほど、旅行会社やメディア関係者向けに「クリスマス懇話会」を開催した。当日は約30名の会場からの参加者に加え、ヨーロッパの旅行会社やインフルエンサーなど約50名がオンラインで参加した。
懇話会の前半ではGNTBのアジア・オーストラリア地区統括局長・日本支局長の西山晃氏がプレゼンテーションを行い、ドイツの現状、ビジネス回復の見込みと予測、コロナ後の日本人の旅行意識、2022年のキャンペーンテーマなどについて説明した。ドイツでは新型コロナウイルスに対し、ワクチン接種やPCR検査の陰性証明などを条件とする「2G」「3G」「3G plus」という規定を導入し、州ごとに異なる感染症対策を展開しており、飲食店の利用や観劇、スポーツ観戦などの際にはこの証明が求められる。12月のメインイベントであるクリスマスマーケットについては、日本人に最も人気のあるドレスデンやニュルンベルクなどでは中止が決まったものの、ベルリンやフランクフルトなど一部の都市では「2G」規定の下で実施されているという。
西山氏は、今回のプレゼンではオミクロン株の影響は考慮しないことを前置きしたうえで、「来年1月から3月にかけて国境閉鎖が段階的に緩和され、4月から6月にかけて徐々にレジャー旅行が再開されるのではないか」との見方を示した。また2022年の日本からの旅行需要は、2019年比で30%程度を想定しているという。なお日本人のドイツ旅行では引き続き都市観光・文化観光に高い需要があるといい、今後もプロモーションの中心としていく考えだ。一方、サステナブルツーリズムについては、現状ではサステナビリティだけでは旅行先には選ばれないこと考慮したうえで、都市観光・文化観光と絡めた展開が必要なのではないかとの考えを示した。加えて、今後はラグジュアリー旅行への取り組みも強化する予定で、来秋にはラグジュアリー旅行に特化した商談会を東京で実施する計画だという。
後半ではGNTB広報マネージャーの大畑悟氏より、SNSにおけるトレンド分析が紹介された。GNTBではツイッターとLINEタイムラインを使い、積極的な情報発信を行っている。ツイッターではドイツの様々な観光地を紹介しているが、旅行先として人気の都市とツイートで人気の都市とは必ずしも一致しないといい、大畑氏は「こうしたずれが1つのポテンシャルになるのではないか」と分析する。一方、若年層の利用が多いツイッターに対し、LINEタイムラインは同じ内容を発信しても中高年の女性からの反応が高く、ツイッターを補完するメディアとして位置づけているという。GNTBはSNSを「マーケティングのリトマス紙」としてキャンペーンの企画などに活用し、今後は業界向けセミナーなどでもSNSマーケティングに関する情報発信を行っていく考えだ。