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【スイス現地レポート】ロックダウンなしの冬を迎えられるか?COVID証明の本格利用で始まった新たな生活

11月も中旬になり、スイスでは秋も終わりに近づき、冬の訪れを感じる時期となりました。夏以降、コロナ感染の増減を繰り返しながらもCOVID証明(ワクチンパスポート)の本格利用が始まり、証明保持者にとっては、コロナ前の日常を取り戻したような日々を迎えています。ようやく、社交や旅行、そしてイベントなども以前よりもさらに前向きに考えられる状況になりつつあります。

今回もデスティネーション情報として、先月訪れたレマン湖地方のラヴォー地域の様子、そして観光列車ゴールデンパスの最新情報をお届けします。 (文・写真 スイス・チューリヒ在住 高橋絵美)

2021年11月8日の情報を基に執筆しています。
※これまでのスイス現地レポートはこちら >>>第3回第2回第1回

ラヴォー地区の葡萄畑。美しい季節を迎えています。

COVID証明の利用範囲が拡大
証明保持者にとっては、「コロナ前」を感じる日々

レストランの入り口でCOVID証明のコードを読み込み、
身分証明書の確認。

 ワクチン接種済み証明のみならず、コロナからの回復証明、そしてコロナ検査の陰性証明を含むスイスの「COVID証明」。9月中旬からその提示を求められる範囲が拡大され、本格的な運用が始まりました(以前は、バーとナイトクラブの利用時のみ)。レストランやカフェなどの飲食店の店内、スポーツジム、動物園、図書館、美術館、映画館、屋内イベントなどを利用する際は、COVID証明を入店時に提示する必要があります。買い物や公共機関を利用する以外、ほぼ全ての場所で(主に屋内)、COVID証明の提示が必要な生活が始まったと言えるでしょう。スイスでは不正を防ぐために、COVID証明提示時に身分証明書も合わせて提示することが厳しく求められています。対象は16歳以上で、現時点では来年の1月23日までの措置としています。

 COVID証明の本格的な運用が始まって以来、証明保持者にとっては、様々な規制から解放され、コロナ前の日常に戻ったような感じを覚える状況です。外食や外出の際の様々な規制緩和だけではなく、家族をはじめ濃厚接触者がコロナに感染した際や、コロナ感染のリスクが高いと認定された国へと旅行した際に発生する隔離義務もなくなり、ようやく社交や今後の旅行の予定なども前向きに考えられるようになってきています。

秋休み中のチューリヒ空港の出発ロビーの様子。 空港内の店などもほぼ通常通り営業。

 10月中旬にある「秋休み」と呼ばれる2週間の休みも、昨年は旅行中に、自分の旅行先が感染リスクが高い国に突然指定され、帰国時に2週間の隔離が強いられてしまうのではないかと恐れながら旅行した人、そのリスクを避けるためにスイス国内に留まる人も多くいました。しかし、今年の秋休みは、スペイン、イタリア、ギリシャなどの近隣の温暖な国々へ出かける人も大勢いて、隔離のリスクを恐れることなく楽しむことができたことでしょう。コロナ感染者数は増減を繰り返しているのが現状ではありますが、このままの状況を維持することができれば、この冬はロックダウンすることなく乗り切れるのではないかとの見方です。

去年は開催が中止になったクリスマスマーケットも、今年は開催する方向で進められています。
©Zurich Tourism

ワクチン接種率の伸び悩みが課題
自然派志向が多いスイスならではの理由も!?

 スイスにおけるワクチン接種率は11月始め時点で全人口に対して64%ほど。6月には接種率が世界最高水準に達したものの、他の先進国同様、その後接種率に伸び悩が見られています。ワクチン接種を望まない人々がある一定数いるのも事実で、COVID証明の本格運用が始まってから、各地でその動きに反対するデモ等が行われていました。これは私の考えですが、スイスでは風邪や少しの体調不良程度では気軽に薬を飲む習慣がなく、まずは体を休め、お茶を飲んで治す人が大勢います。事実、スーパーのお茶売り場では、「風邪に効く」「膀胱炎に効く」「消化を助ける」などといったお茶がたくさん売られていて、まずは自然のハーブで作られたお茶をたくさん飲んで体を休めるのが一般的です。そのような生活習慣から、作られた薬のようなものを接種するということに抵抗があり、生活や仕事に多大に影響がないのであれば、ワクチンは接種せずにそのまま様子をみようという人が多くいるのではないかと思います。

スーパーのお茶売り場。各不調に合わせたお茶が多数売られています。

 ワクチン未接種の人が飲食店などCOVID証明の提示を必要とする場所を利用するには、PCR検査か抗原検査を受け、その陰性結果に基づき一時的なCOVID証明を入手する必要があります。この際のCOVID証明の有効期限は受けたテストの種類により異なり、48時間から72時間。以前はコロナテストなども無料でしたが、COVID証明の導入に合わせて有料になりました。またスイス国外からもCOVID証明の取得が可能で(ワクチンの種類などの条件あり)、観光客の場合は申請に30フランかかります。