【コラム】緊急事態解除後の飲食店に見える旅行需要への期待と不安
今月、緊急事態宣言が解除され、久しぶりに外食をされた読者の方も居られると思います。私もその一人ですが、繁華街の人出、各飲食店のお客様の入りは想像よりも断然寂しいものでした。コロナが終息したわけでは無いので、当たり前かも知れませんし、何より日本人の感染防止に対する生真面目な反応にある意味安心するとともに、少し誇らしい気持ちにもなりました。
一方、制限解除を心待ちにしていた飲食店の皆さんの落胆を思うと、やるせない気持ちになります。新聞等でも企業の7割が忘年会や新年会をやらないという報道も有り、仮に第6波が来なくても、書き入れ時の年末年始が期待倒れになる恐れもありますし、このコロナ禍を機に、忘年会・新年会のような行事が廃れていく事も十分考えられます。
しかし、全てのお店が一様に不調かと言うと、決してそうでは無さそうです。それもいわゆる高級店は好調、庶民的なお店は不調と言った単純な話では無く、各カテゴリーの中で好不調が鮮明という印象です。
飲食店の今の様子は決して他人事では無く、観光産業にもほぼそのまま当て嵌まるのでは無いかと思います。コロナが収束すれば、国境が開けば、全てが解決するように思いたいのですが、残念ながらそうはならないでしょう。しかし、絶望する必要は全く無いとも思っています。
会社主導の新忘年会等はそもそも「誰得?」だったように思いますし、需要が供給を上回っている状態での「黒字」は単なる需給バランスの恩恵を受けているに過ぎなかったのだと思います。業務需要も含めた旅行も全く同じで、コロナを機に消滅する需要が有るとするならそれはコロナが有ろうと無かろうと遅かれ早かれ無くなったはずです。
需要は質量共に元通りには戻らない、しかしお客様のニーズに沿うための努力を直向きに行う者は必ず報われます。重要なのは報われるまでトライ&エラーをやり続ける事、そこまで何としてでも持ち堪える事では無いでしょうか。旅行需要が無くなる事は絶対に無いのですから。
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役