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地域に人が訪れる「理由」を作る-日本航空 執行役員 地域事業本部長 本田俊介氏

日本全国に出向するグループ社員を統括
自治体目線で得られる気づきを大切に

-地域で結果を出すために時間はどれほど必要と考えますか。

本田 地域の皆様のニーズにもよりますが、2年から3年ではないでしょうか。地域の方々からしたら「この人とは一緒に何ができるのだろうか?」と疑問をお持ちになるかと思います。そのため、1年目はしっかりと地域のために地域の方と汗を搔き、信用をしていただく「地域との絆」を作ることが第一。そこから一緒に課題を見つけて考え始めるまでに2年。実際に課題解決への取り組みを始めて実になるのに3年くらいはかかるのではないかと想定しています。

 一方で社内でのキャリアパスもあるので、そちらへの配慮も必要です。残念ながら出向期間内に完成できなかった案件に対しては、後任者や自治体の方々にバトンタッチすることもあると思います。もちろん、本人と出向先の双方が希望すれば、出向期間の延長もあり得ると考えています。

-出向中の社員の方とのコミュニケーションはどうしていますか。
「JAL CAFÉ」で地域のおすすめ品を紹介

本田 多くは自治体に1人で出向しているため、JALとしての相談相手が身近にいませんが、各地域の管轄支店が定例ミーティング等でコミュニケーションをとっています。地域事業本部としても、4月、7月には会社状況の説明会を実施し、10月からは「JAL CAFÉ」と呼ぶ取り組みを始めています。これは業務終了後に各地の出向者とオンラインで接続し、例えば決算等の連絡をした後に各自が困っていることを話してもらい、それを本社の人間はもちろん、全国の出向者で共有をして悩みを解決するという試みです。「JAL CAFÉ」の相談の場からJALグループのイントラ内に「自治体出向者応援コーナー」というコーナーも生まれ、JALグループ全社員が自治体等の出向者の悩みやお願いなどの生の声を聞き、反応することができるようになりました。そして「JAL CAFÉ」では、参加者が出向した土地ご自慢のお菓子や飲み物を紹介し合い、楽しみながら歓談するという時間を設けています。これが非常に楽しい時間です。出向地の自慢をすることで自分の中での「地元愛」が生まれて来ていますし、自由な雰囲気の中での出向者同士の会話から各地域共通の悩みが見えてくることもあります。「JAL CAFÉ」の取り組みは今後も定期的に続けていきたいと思っています。

-地方創生を進めるにあたり、今後取り組む課題や目標についてお聞かせください。

本田 地域活性化の基礎には「社会インフラ」があり、その上に「人が訪れて潤う部分」(人流)と「モノを売って潤う部分」(物流)という、3つの大きなエコシステムが働いています。私たちの活動にはまさに「人流」と「物流」のサポートという2つの基本的な活動があり、この2つの活動を通じて「社会インフラ」がしっかりと機能するようにお手伝いをし、地域が活性化することを目標としています。

 私たちは、国内外の方々を「地域に誘客する」ということにこれまでも取り組んできました。そのため、その延長上にある「2拠点居住」やテレワークの環境を整えた「ワーケーション」など、新しい移動の仕方や生活の仕方に合わせた事業を生み出していくことは得意な分野です。難しいと思うのは商流です。A地点からB地点に物を運ぶだけではなく、商流をどう作っていくか、地域ごとの良いものをどのように磨き上げて世界に送り出していくかといった部分が、今後の課題ですね。

-販路や物流については、パートナー企業との提携の可能性もありますか。

本田 やはり地域の良いものをご存知なのは地場の企業様です。販売チャネルやプロモーションについては、我々がしっかりとフォローしながら連携して進めていきたいと思っています。良い商品は様々な地域にあるのですが、小ロットのため大きな物流網に乗らず、埋もれてしまっているものも多いと考えています。そうした商品の流通に「JALふるさと応援隊」が加わって、その商品の地域における歴史やストーリーを一緒に発信し、商流を作っていきたいと考えています。

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