「安全な送迎」社是にさまざまな団体旅行をサポート —西鉄観光バス代表取締役社長 中倉淳一氏

コロナ禍でオンライン修学旅行を提供
移動制限緩和で需要の急回復に期待

 福岡市に本社を置く西鉄観光バスは、九州を代表する観光バス会社。企業の慰安旅行、修学旅行をはじめとする教育旅行、旅行会社の企画旅行などさまざまな団体輸送のニーズに応えている。コロナ禍で引き続き厳しい状況が続いているが、アフターコロナに向けて前向きな取り組みも進めている。「最も優先されるのはお客様の安全」と話す代表取締役社長の中倉淳一氏に、西鉄観光バスの現状と今後を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

中倉氏

-まず、会社の概要とご自身のご紹介をお願いいたします。

中倉淳一氏(以下敬称略) 西鉄観光バスは、2000年に貸切バスの規制緩和が始まる前の1998年に、西日本鉄道の貸切バス事業部門を分社化する形で設立された、貸切バス専業会社です。西鉄グループの企業理念として「最も優先されるのはお客様の安全である」を掲げています。判断に迷ったときは、お客様にとって何が安全かという視点で、営利優先ではなく安全に資するものへの投資や行動を大切にしています。

 運行支社は福岡市と北九州市の小倉にあります。現在の保有バス台数は、大型が70台、中型が5台。従業員数は全体で156名。内訳は、運転手が79名、バスガイド30名、そのほか営業などを含めた非乗務員が47名となっています。

 コロナ禍で苦しい状況が続いていますが、今年度も新入社員としてバスガイド6名と事務員1名、中途で運転手3名を採用しました。例年よりは採用人数は少ないですが、世代交代も含めて、今のうちに優秀な人材を確保したいと思っています。

 私は 1990年に西日本鉄道株式会社に入社し、以来バス事業部門一筋でキャリアを積み続けてきました。本社勤務、グループバス会社数社、日田バス代表取締役を経て、2019年から現職に就いています。

-コロナの影響はいかがでしょうか。

中倉 2019年度はバスの稼働率が53.1%で営業収益が16億1000万円でしたが、2020年度は稼働率が16.8%まで落ち込み、営業収益も前年度の約66%減の5億4000万円まで大幅に減少しました。それでも、前年度は秋の「Go Toトラベル」の効果が大きく、関東や関西からの修学旅行を中心に収益を上げることができました。

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