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地元に貢献できる体験プログラムを造成-「城西館」宿泊営業部部長 小笠原宜嗣氏

回復を見せる宿泊売上
旅行会社とも積極的な情報交流を

 今年7月の宿泊実績は過去5年間で最高を記録したという高知県の城西館。コロナ禍の真っただ中にありながら宿泊需要をがっちりつかむ同館の営業を取り仕切るのが小笠原部長だ。現状では宿泊予約の7割がOTA経由だというが、旅行会社への期待は形は変えても大きなものがあるという。体験プログラム作りも指揮する小笠原部長の思いを聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

小笠原氏
-城西館の紹介と、小笠原部長の自己紹介をお願いします。

小笠原宜嗣氏(以下敬称略) 城西館は明治7年創業で140年余りの歴史があります。営業形態はホテル形式を取り入れており、宿泊需要だけでなく宴会・婚礼需要も積極的に取り込んでいるのが特徴です。大浴場や展望露天風呂はありますが温泉ではないので、サービスを含むソフト面や料理の質にこだわっています。

 私は高知県出身で高校卒業後は県外の専門学校を経て地元へ戻り、1997年に21歳で城西館に入社。その後は24年間、ずっと城西館でお世話になっています。入社後は研修期間を経てフロントで8年間、その後は宿泊営業に携わってきました。5人の営業部員のうち4人は内部の仕事で、外回り営業は私1人です。県内旅行会社と地元企業へのセールス、関西や中国・四国の1泊圏内エリアへの営業、首都圏旅行会社の造成部門への商品化の働きかけが主な仕事です。

-コロナ禍による客室稼働率や客室単価への影響はいかがですか。

小笠原 2019年4月に本館をリニューアルし、これからという時にコロナ禍に見舞われ、20年5月の1カ月は休館も経験しました。それでも7月はGoToトラベルが始まったこともあり毎日満室状態。8、9月も好調でした。しかし好調は続かず、今年は3月と5月が特に良くありませんでした。6月から持ち直し7月の総売り上げは前年の8割ほどまで戻り、8月も宿泊予約が好調でしたが4回目の緊急事態宣言の影響でキャンセルが目立つようになりました。

 宿泊売上だけで比べると7月は過去5年間で最高でした。五輪開催に伴う祝日の移動で4連休ができた影響もありますが、やはり「そろそろ旅行に行きたい」「どうせ行くなら感染の少ない地方へ」という消費者心理が働いていたのではないかと推測しています。

-宿泊予約の販路別割合と、宿泊に占めるインバウンド比率は。

小笠原 宿泊予約の約7割はOTA経由、従来型の旅行会社経由は2割弱です。現在は休業中の旅行店舗が多いため旅行会社経由の予約は通常よりさらに少ない傾向です。客室規模が60室程度とあまり大きくない当館では、OTA、旅行会社の両方に十分な対応をするのが難しい面もあります。

 インバウンドはコロナ禍前は全体の1割程度。対象市場が限られグループ旅行は台湾が大部分でFIT市場はアジア中心でした。

-インバウンド比率が低かったのは不幸中の幸いとも言えそうです。

小笠原 もう少しインバウンドを強化したいと思っていましたが、コロナ禍で訪日客がゼロになり回復も時間がかかりそうな現状を考えるとダメージを抑えることができた面はあります。

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