ホテルマーケットの行方は?重要なのは「今稼ぐこと」
オータパブリケイションズ週刊ホテルレストラン編集部は7月28日と29日に、「HOTERES EXPO 2021」をハイブリッド形式で開催し、このうちオンラインで28日午後に開催されたパネルディスカッションでは、「アフターオリンピック&2022年以降のホテルマーケットを考える」をテーマに、コロナ禍におけるマーケットの現状と今後の見通しについて意見が交わされた。
沢柳知彦氏
阿部博秀氏
内藤信也氏
オリンピックは忘れるべし、回復は米中の半年遅れか
モデレーターの岩本氏は冒頭、パネリスト各氏はホテル業界での豊富な経験を持ちつつも現在はホテル運営を外部から支える立場にあると説明し、客観的な視点で忌憚のない意見を聞かせてもらいたいと呼びかけ。そして、「アフターオリンピック、2022年以降のホテルマーケット」について考えを聞いた。
これに対して沢柳氏は、オリンピックを節目として考えるべきではないと回答。その理由として「無観客になったために、せっかく高く売れるはずだった客室が売れずに苦労されたりしている」といった問題はありつつも、「残念ながら終わった話」であり「先を見ていかなければいけない」と語った。
コロナ禍からの回復という観点では、阿部氏が「正直なところ誰にも分からない」としつつ、「米中に対して6ヶ月遅れでの回復」との予測を提示。これによると、年内に国内レジャーと外食の需要が回復し、2022年に入って国内ビジネスやイベントの需要、さらに他国とのトラベルバブル開始による訪日需要が少しずつ見込めるようになる。
6ヶ月遅れの理由は、ワクチン接種が3ヶ月程度遅れていることに加えて、コロナ禍でのこれまでのデータでも3ヶ月程度遅れて米中のトレンドを追っているためで、加えて他人の目を気にしてリスクを取りにくい日本人の国民性も回復を妨げると予測。その上で「いつ回復するか、と同時にどう回復を加速するか」も重要だとも指摘した。
「世界最高齢」の日本は回復遅れも当然?
内藤氏も、諸外国に対して回復が遅れるとの予測に同意し、国民性に加えて3つの理由を列挙。1つは平均年齢で、WHOによる中央値だと日本の平均年齢は45.9歳で世界で最も高齢で、これに対して英国は40.2歳で23位、米国と中国37.4歳で40位となっており、高齢者の比率が高ければコロナ禍への反応が変わるのは当然と分析した。
2つ目は、コロナ禍におけるリスクマネジメントのKPIについて。「英米は重傷者数と死亡者数を重視しているが、日本はPCR陽性者数を重視してしまっている」とし、英米の基準であればすでに優等生であるにも関わらず「陽性者の絶対数をKPIとしているので、コロナを怖がって需要を回復させられない」と指摘。感染症法上の指定を結核と同じ2類からインフルエンザと同じ5類へと下げない限り、この状況は変わらないとした。
そして3つ目は政治的なリーダーシップで、諸外国では「国の首長がリーダーシップをとって、場合によっては私権も制限して厳しい対応をして早めに回復させようという傾向が明らか」であると