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マッターホルン観光の新施設、グレッシャー・エクスプレスの最新情報も

発展し続けるマッターホルン観光
6月に新しくマルチメディア施設が誕生、国境を越えての新しいロープウェイも建設中

 多くの観光客を魅了し続ける名峰マッターホルン。その山の魅力を3DやVRなどのテクノロジーを使って体感できるマルチメディア施設「マッターホルン・ズーム」が6月よりオープンしました。場所は、同地の観光でお馴染み4000メートルのパノラマが広がるゴルナーグラート展望台上で、クルム・ホテルの横に新たに建設されています。

新マルチメディア施設「マッターホルン・ズーム」の外観

 この施設は、「パラグライダーフライト」、「シーズン」、そして「ペリス」と呼ばれる3つのステージで構成され、各部屋に分かれています。第1のステージ「パラグライダーフライト」は、パラグライダーに乗り、マッターホルンに向かって飛んでいくようなバーチャルリアリティー体験ができるというもの。マッターホルンだけではなく、同地の壮大な山々の景色を様々な視点から楽しめるのが魅力です。

VR装置をつけて、上から吊るされた椅子に座りながら体験

 第2のステージ「シーズン」は、体験型シネマ。約12分間の各季節をテーマにした映像を、展示してあるマッターホルンのレプリカと共に、実際に風を感じたりしながら鑑賞できます。第3のステージ「ぺリス」では、設置されている潜望鏡を覗くと、配信アプリを通じて映し出される実際のマッターホルンやその周辺の山々の風景を見ることができ、自らレバーを回して近づいたり、焦点を当てることができます。悪天候でマッターホルンが見えない場合には、同様の映像が流れるということです。

第3のステージ「ぺリス」に設置されている潜望鏡

 ゴルナーグラート展望台へ向かうために利用するゴルナーグラート鉄道のチケットを提示することで入場は無料に。鉄道チケットを持っていない場合、入場料は大人1人当たり12スイスフラン(約1450円)、子供は夏季は6歳まで、冬季は8歳まで無料です。

 この施設の誕生により、同地を訪れる旅行者の楽しみが増えたことはもちろん、悪天候でマッターホルンの姿が見えない場合でも、実際の様子や景色を想像し体感できるようになりました。旅程が柔軟に変更できない旅行者にとっては心強いアクティビティーとなる施設です。

 また、2022年の終わりにはクライン・マッターホルンとイタリアのチェルヴィニアにあるテスタ・グリジアを結ぶロープウェイが完成予定です。この新ロープウェイ建設プロジェクトは、「アルパイン・クロッシング」と呼ばれており、今までスキーでしか行くことができなかったこのルートを、ロープウェイで簡単で快適に移動することができるようになります。所要時間は約1時間。4000メートル以上の高さから、国境を超えたこの地域の素晴らしい山岳風景を見渡すことができます。

 そして近頃、同じルートで将来的にスキーのワールドカップが開催されることが決定しました。スキーレースのスタートがクライン・マッターホルン、そしてゴールがイタリアのチェルヴィニアと、史上初めて国境を超えたコース設定になります。そのことから、数あるスキーのワールドカップの中でも、標高が最も高く、走行距離も最も長いレースになるとのことです。このワールドカップ開催において、同じルートを走る新しいロープウェイが重要な移動手段になることは言うまでもなく、世界中の多くの人に同地の魅力をまた違った角度から見ることのできる絶好の機会になりそうです。

新ロープウェイ・プロジェクト「アルパイン・クロッシング」©ZBAG

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