観光産業のためのLGBT基礎知識Vol.2 ~文化と学生の街・京都で花開いたLGBTQのいろいろ~
海外のLGBTQも注目する京都
今年4月には初のレインボーパレードを開催
前回、1月の記事では大阪で開催した日本初の「LGBTQツーリズムコンファレンス」のことをご紹介しましたが(こちらにレポートを掲載しておりますので、ぜひご覧ください)、今回は京都のお話です。
概説:京都とLGBTQ
京都といえば、文化の街。東京(中央)とはまた違う独自の様々な文化が花開いてきましたが、LGBTQについても例外ではありませんでした。森美術館で開催された展覧会「クロニクル京都1990s ―ダイアモンズ・アー・フォーエバー、アートスケープ、そして私は誰かと踊る」でもフィーチャーされていたように、90年代、ゲイでありHIV陽性であることをカミングアウトした故・古橋悌二さん(ミス・グローリアス)やその周辺のゲイの方たちを中心とした数々のアーティスティックなムーブメント(ドラァグクイーン・パーティ『DIAMONDS ARE FOREVER』、『ダイヤモンド・アワー』、ダムタイプ『S/N』、アート&コミュニティーセンター「アートスケープ」、エイズ・ポスター・プロジェクト(APP)など)は、日本のLGBTQの歴史における文化的特異点とも言うべき奇跡でした。
また、京都市は日本一大学が多い街ですが、1994年に京都大学学祭で「ゲイの11月祭天国」が開催されたのをはじめ、2004年には立命館大学のGSPという学生団体が学内とその周辺で、西日本初、学生団体単独としては日本初となるLGBTQのパレードを開催するなど、大学においても様々なムーブメントがありました。京大西部講堂はLGBTQの映画祭の会場ともなってきましたし、京都精華大学では様々なLGBTQ関連の講座や展覧会も行われています。
同志社大卒で「東京少年」のボーカルとして活躍した笹野みちるさんが1995年、メジャーシーンの女性アーティストとして初めてレズビアンであることをカミングアウトしたのも、エポックメイキングな出来事でした。
30年の歴史を誇るドラァグクイーン・パーティ『DIAMONDS ARE FOREVER』
2018年12月、森美術館で行なわれた「ダイアモンドは永遠に―日本におけるドラァグクイーン・パーティーの起源」というトークイベントで、現存する最古のドラァグクイーン・パーティ『DIAMONDS ARE FOREVER』のことが語られました。関西でドラァグクイーン・パーティの場を模索していた故ミス・グロリアス(古橋悌二さん)とDJ LaLa(山中透)さんがシモーヌ深雪さん&上海ラブシアターとともに1989年に大阪で始めたパーティですが、1990年、京都に誕生したクラブ「メトロ」に会場を移し、以後、毎月最終金曜日の夜に開催されるようになり、30年も開催され続けています。驚異のロングラン・パーティです。毎回、シモーヌ深雪さんをはじめ多彩な(多才な)ドラァグクイーンの方たちがめくるめくショーを繰り広げ、年末の12月30には「メトロ紅白歌合戦」という盛大なイベントで盛り上がります。
毎月最終金曜日に京都にいらした方はぜひ、神宮丸太町駅直結のクラブ「メトロ」にお出かけしてみてください。(なお、コロナ禍の影響で時間が変更になったり、オンライン開催となる場合がございますので、クラブ「メトロ」公式サイトのスケジュールをご確認ください)
DIAMONDS ARE FOREVER日時:毎月最終金曜日 22:00-5:00会場:METRO
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