海外旅行再開を信じ来たるべき日に備える-G2トラベル・ジャパン代表取締役 六反隆徳氏

YouTubeやSNS活用で旅のアイデアを発信
より安全なツアーを提供するためのアプリ開発も

-海外旅行の再開に関して日本は遅れ気味ですが、他国の状況はいかがですか。

六反 日本は特に動きが遅いですね。G2トラベル本体の情報によれば総じてアジア各国は遅めですが、北米や中東からは今秋や来年夏の受注が入り始めているとのことです。この先もコロナ禍の状況次第で一進一退を続けそうですが、ワクチン接種の進展もあってアジア以外の各国でははっきりと動きが出始めています。

-いずれは日本でも海外旅行が再開しますが、そこへ向けてどのような取り組みをしていますか。

六反 G2トラベル・ジャパンとしては、昨年コロナ禍が始まって以降、現地情報の発信に努めてきました。また現在は旅行の魅力を五感に訴えるツールとなるYouTubeやフェイスブック等のSNSを活用し旅のアイデアを発信しています。さらに日本の海外旅行再開の道筋が見えてきた時点で、日本の海外旅行ニーズについて改めて考えて対処しようと考えています。海外旅行のガイドラインについても最終的に細かい部分まで固まった段階で、日本の旅行会社が安心して旅行者を受け入れられるような手配のあり方をツアーオペレーターとして突き詰めていきます。

 G2トラベル全体の取り組みとしては、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に、より安心な旅を提供するためのツール開発にも取り組んでいます。具体的には添乗員やグループリーダーとG2トラベルがスマートフォンを介して簡単に業務連絡できる新アプリを開発しており、すでに英語版ができています。日本語版についてはコロナ禍の影響で少々遅れていますが、もうすぐ完成の見込みです。このアプリを利用すれば、管理側と現場との日程表のやり取りや行程・スケジュール変更の指示・報告等の情報交換がスムーズになり、なおかつペーパーレス化も進められます。FIT新規参入、スポーツに特化した部署の設立など進めています。

 海外旅行再開後に、どういった形のツアーが商品として市場に受け入れられるのか、正直なところまだ分かりません。旅行業界を30年以上見てきて感じるのは、傾向は時代ごとに変化するものの、同じようなブームが繰り返されているようにも見えることです。一方、ここ数年で注目が高まっているサステナブルトラベルへの対応は避けられないと思いますが、どのような形でツアーに反映させられるかについては業界もまだ模索中だと感じています。

-最近ではサステナブルトラベルよりさらに進んで、地域に負担や迷惑をかけないだけではなく、地域住民の生活の質の向上に貢献すべきといった考え方も支持されるようになっています。

六反 そういった動きに対して、ツアーオペレーターとしてさまざまなアイデアは出しますが、具体的にどう商品化につなげていくのかは難しい点です。やはりコストが課題になるのですが、そもそも日本のツアー代金は安すぎないでしょうか。

-最後に読者に向けてメッセージをお願いいたします。

六反 「明けない夜はない」。ウィズコロナにせよアフターコロナにせよ、海外旅行は必ず再開します。それを信じて、その時が来るまでミニマムの体制で会社を運営し、来たるべき日に備える。そう考えています。日頃はビジネスで競合するOTOA会員同士で協力し情報共有を図りつつ、日本人旅行者が安心して海外旅行を再開できるように取り組んで行きます。旅行業界は厳しい時期が続きますが、健康を維持しつつ皆さんと共に生き残り、海外旅行の復活を待ちたいと思います。

-ありがとうございました。