海外旅行再開を信じ来たるべき日に備える-G2トラベル・ジャパン代表取締役 六反隆徳氏

YouTubeやSNS活用で旅のアイデアを発信
より安全なツアーを提供するためのアプリ開発も

 厳しい状況に置かれる海外ツアーオペレーター。海外旅行再開への道筋は未だ定まらずビジネス再開の目途が立たない。G2トラベル・ジャパン代表取締役の六反隆徳氏も、今年中の海外旅行復活は難しいと見るが、「再開できた時の準備はしっかり進めたい」としコロナ禍後を見据えてツアー管理の武器となるアプリ開発も進める。海外旅行再開を待ち望む六反氏の思いを聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

G2トラベル・ジャパン代表取締役の六反隆徳氏
インタビューはオンラインで実施した
-まずは自己紹介と貴社の事業についての説明をお願いいたします。

六反隆徳氏(以下敬称略) 私は鹿児島出身で大学卒業後に米国ニュージャージー州に語学留学し、帰国後の1989年にガリバートラベルに入社しました。翌90年から5年間ほどはパリで主に団体手配を担当。パリを拠点にミラノやローマなどにも長期出張を繰り返し、ヨーロッパ各地のビジネスに触れる機会を得られたのは貴重な経験でした。パリでの仕事は、来訪する日本人旅行者のケアやコーディネーションでしたが、品質管理にも関わったほか日本以外のアジア、北米、南米、中東など世界各地の旅行業者と仕事をした経験も有意義でした。

 95年に帰国し、営業、手配、見積もりなどを担当した後に、今度は2008年にロンドンへ赴任。日本との窓口として日本の営業方針を伝達するなど横断的な役割を担いました。結局、ガリバートラベルには23年間在籍し、12年にG2トラベルのロンドンに入社。翌13年には帰国しG2トラベル・ジャパンに加わりました。G2トラベル・ジャパンは12年に設立されたツアーオペレーターで、ヨーロッパ、中近東、北米、オセアニアを中心にグループツアーの手配を行っています。

-コロナ禍の影響について教えてください。

六反 海外旅行業界では色々な事柄が起きますが、今回のコロナ禍は本当に厳しい。実は昨年の1月、2月は前年同期比30%増と非常に好調でした。それが2月下旬頃からバタバタとキャンセルが相次ぐようになり、3月までは多少の売上はあったものの4月以降は売上がゼロになってしまいました。影響もさらに長引きそうです。昨年3月、ヨーロッパにいる弊社オーナーと電話会議をした際に、私は日本では秋頃からは徐々にビジネスを再開できるとの予想を述べましたが、オーナーはもっと時間が必要だろうと予想していました。日本では私のように考える業界人が多く、顧客の旅行会社も20/21年の年末年始に入っていた予約を何とか生かせないかと最後まで頑張っておられたので、我々も何とか粘りましたが最終的には残念ながらキャンセルすることになりました。

 先が見通せないのが一番問題です。日本でも英国のようにロードマップを示してほしいと思います。途中で変更があっても構わないから、ここでロックダウンして何カ月後にこうなって、ワクチン接種のスケジュールはこうだと明示してくれれば、いまよりは対処しやすい。率直に言えば、社員に踏ん張ってもらっていますが、自分でもよくここまで会社が耐えたなと思います。現状では今年いっぱいはコロナ禍が続くと見ています。

-そのような厳しい状況に対して、どのような手を打ってきたのですか。

六反 親会社の対応は素早かったですね。湾岸戦争からロンドンのテロ事件などまで多くの経験を積んでいるからでしょう。G2 Group全体で昨年3月には対応を始めました。

 日本では3月に早期退職を募り、5月から休業を導入し雇用調整助成金や家賃支援などの給付金、支援金を活用しています。4月以降、親会社と相談し退職勧奨や解雇は行っていません。休業の合間にツアーキャンセルや先々の見積もりといった作業を少しずつ行っていましたが、昨年9月からはコロナ禍のさらなる長期化が見えてきたので休業日を増やしました。就業日も基本的に在宅勤務で、客先へ出向いての営業も行わず、ZOOMやメール、電話を使いオンラインで営業活動するようにしています。少しでも交通費を削減する狙いもありますが、やはり顧客と社員双方の健康を守るのが第一です。

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