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アメリカの「今」を駐在員の視点から-日本とアメリカのコロナ支援を比較、西部都市の回復状況

日本政府とアメリカ政府の対応を比較した感想

 アメリカ政府の特筆すべきは点はスピード感を重視した手続きの簡素化です。アメリカ版定額給付は法案成立の約3週間後には実施となりました。しかも個人は申請などの手続きも一切なしで給付。政府は確定申告を元に個人銀行口座へ振り込み、または個人宅へ小切手を郵送しました。

 PPPは申請の際の追加書類の手続きや進捗状況の確認など全てがオンラインで処理。会計士、税理士等の補助は不要で、申請は比較的簡単で数時間でできるものになっています。詐欺行為や不正受給、給付金が届かない等の問題も多発しましたが、年度末の確定申告、何度もある更新登録等で不正を暴きました。政府から定額給付金を受給出来なかった場合でも、受給資格があるなら確定申告時に調整が可能です。アメリカではソーシャルセキュリティー番号(日本のマイナンバーカード)が義務化しており、国が個人情報の一部を一括管理しているからできることだと思います。

 アメリカ都市部は日本都市部よりも物価が高く、消費税も日本以上です。実際にアメリカで補助金を受給した感想は「隣の芝は青く見える」ではなく「隣の芝は本当に青かった!」です。我々の様な現地旅行会社が、この状況下でもぎりぎり存続出来るのは、アメリカ政府の補助金が個人、法人ともに支えてくれたおかげです。一方、今後この莫大な国の借金に対しどの様な増税があるのかは不安ではあります。

アメリカ各都市の現地の状況

 ラスベガス、サンフランシスコ、ロサンゼルスの現地の状況を、各地のスタッフよりお伝えします。

ラスベガス

 他州に比べビジネスの営業再開に対して積極的な傾向にあるネバタ州ラスベガスは、2020年6月4日以降、カジノを中心にほぼ全てのビジネスが上限定員の50%の制限のもと営業再開をしています。

カジノもアクリル板で仕切られ衛生管理を徹底している

 4月5日よりワクチン接種対象者も16歳以上全員となり、ネバタ州保健局によると州の人口314万9234人に対し、投与数が160万7908回(4月15日時点)と、ほぼ半数の人が最低1回目のワクチンを接種済みであるという数値が出ています。

 州全体での新型コロナウイルス延べ感染者数は30万9699人、死亡者数5359人ですが、感染者数、死亡者数ともに大幅に減少しており今年の3月以降快方に向かっています。

2020年12月12日時点2021年4月15日時点
平均感染者数2736人251人


2021年1月13日時点2021年4月15日時点
平均死亡者数40人3人


 そのような状況の中、ホテルが次々とオープンしています。2020年10月28日にダウンタウン地区でサーカリゾート&カジノ、2021年3月25日にはヴァージンホテルズラスベガス、さらに今夏には雇用数約6000人といわれるリゾート・ワールド・ラスベガスがストリップ通りにオープン予定で、建設工事が着々と進められています。

昨年10月末にオープンしたサーカリゾート&カジノの内部

 春休み中の3月20日の週末は混雑とともにホテル料金も高騰し、例えばエクスカリバーで前週の139ドルから238ドル、フラミンゴで175ドルから259ドルに料金変動。またシーザスパレスは満室という状況でした。人気のグランドキャニオン国立公園も同時期に大混雑しており、3月27日の週末は公園入口に渋滞ができる程でした。

 現在、制限の基本数値となっている「定員の50%」も4月までの予定です。5月からはマスク着用義務とソーシャルディスタンス確保のもと、制限も撤廃される予定で、10月1日~2日には参加者約3万のランタンフェスティバルRISE、10月22日~24日は参加者約20万と言われる音楽フェスのEDCといったイベントも開催される予定です。

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