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【スイス現地レポート】2回目ロックダウン緩和中の現在の様子と、進化しているユングフラウ地方の最新情報

取り戻しつつある日常、そして新たな生活スタイル
主要観光地のアップデートも

 今年は特に長く厳しかった冬が終わり、春らしい気候の日が多くなってきました。スイスでは1月中旬から始まった第2回目のロックダウンも、3月から段階的緩和が始まり、少しずつまた日常を取り戻しつつあります。コロナテスト無料化やワクチン接種も急ピッチで進められており、コロナと共に生きる新たな生活環境の整備が始まっているところです。未だ日本から自由に行き来できる状況ではないものの、スイスの主要観光地では様々なアップデートがあります。今回は年末にオープンした新ロープウェイ路線「アイガー・エクスプレス」の乗車体験をもとにユングフラウ地方の最近の状況をお届けします。(文・写真 スイス・チューリヒ在住高橋絵美)
※2021年4月19日の情報を基に執筆しています。
※前回のスイス現地レポートはこちら

4月初旬のグリンデルワルト

コロナ感染がより身近になったこの冬
落ち着きを保てた第2回目ロックダウン

 この冬も年末にかけて国内で最高1日1万人、その後も1日4000人以上と非常に多くの新規感染者が出てきたことに加え、変異株によるさらなる感染拡大の恐れもあり、1月18日より2度目のロックダウンが開始。飲食店、スポーツ施設、美術館や映画館などの文化・レジャー施設、スーパーや薬局など生活必需品以外の小売店はほぼ全て閉まりました。

 昨年春に行われた第1回目のロックダウンと比べて、美容院や理髪店、花屋、携帯ショップなどの営業継続が認められたこと、閉鎖中の店舗も事前注文の受け取りはできるなど規制に沿った営業展開をしていることもあり、昨年のように街中がゴーストタウンのように静まり返るようなことにはなりませんでした。コロナ禍の生活も1年が経ち、店舗もロックダウンを見据えての営業準備ができていたこと、そして何より人々がこの生活様式に慣れてきて、恐怖やパニックに陥ることなく落ち着いて日常生活を送れているからではないかと思います。

ロックダウン中でも晴れている日は、コーヒーをテイクアウトして広場で語らう光景も

 小学生2児の母親として一番安堵したことは、学校が休校にならなかったことです。昨年のロックダウンでは3月中旬から5月初旬まで休校になり、ホームスクールになりました。州によって、また高等教育などは事情が違うところがありますが、概ねこの度は、小学校は休校にならず通学できています。課外活動、イベント、遠足、授業参観などは中止で、4年生以上のマスク着用必須(体育中も)など様々な制限があり、通常であれば色々な経験ができていたと思うと親としては胸が痛くなります。ただ、毎日友達と会い、元気に学校に通えるだけでも有難いと思うしかないですね。通学はできていたものの、コロナが非常に身近な学校生活であったのは事実。感染者が出て学級・学校閉鎖になったり、「Aちゃんのお母さんがコロナになって、Aちゃん学校に来られないんだって(隔離のため)」、「B君の妹の保育園で変異株の陽性者が出て、今は家族全員隔離らしいよ」という話も頻繁に聞きました。小学5年生の息子は、突然の学級閉鎖に備えて授業で使用しているノートパソコンを毎日家に持ち帰るようにと担任の先生から指示されています。1月には、校内で更衣室を共有しているクラスの児童の一人が変異株に触れた可能性があるとして、突然校内の6クラスが学級閉鎖になり、1週間隔離生活を送るということもありました。

チューリヒ湖沿い。今回のロックダウンでは閉鎖されず市民の憩いの場に

 3月1日から第2回目ロックダウンの段階的緩和が始まり、現在は全ての小売店が営業をしています。動物園や博物館、屋外スポーツ施設も再開しました。4月19日からも、飲食店において屋外のテラス席に限り営業(テーブルに4人まで)、野外イベントは100人まで、屋内の映画やコンサートは50人までと人数制限がありながらも可能になりました。少しずつではありますが、日常と社会生活が戻り始めている状況です。

ようやく営業が可能になったレストラン、まずはテラス席のみ。

コロナ検査の普及で新しい生活スタイルの道筋が見えてくるか?

 スイスでも年末よりワクチンの接種が始まっています。連邦保健庁によると、州ごとにペースは異なるものの、現在1日平均2万人が接種を受けている状況で、夏までには1日平均7万人が接種できる見込みとのこと。7月末までには希望者全員が第1回目のワクチン接種をできるようにとの目標を掲げて進められています。政府は、ワクチンパスポートの導入にも意欲的で、EUが進めている同種の「デジタル・グリーンパスポート」と調和するよう実現したい考え。これも同じく夏までに導入する予定とのことです。

 これらの動きと同時進行で、スイスではコロナ検査の更なる普及も進んでいます。3月15日からは、コロナ簡易抗原検査が感染症状の有無に関係なく無料化されました。無料にすることでより多くの人に気軽に検査を受けてもらい、無症状感染者をいち早く見つけ出すことが狙いです。私的な集まりなどの際にも事前に検査を受けて、参加者間での感染拡大を防ぐよう呼びかけています。今月初めのイースター休暇では、家族や親戚などの集まりも多くなることから、非常にたくさんの人が休暇前にこの検査を利用しました。高齢の親戚に会いに行く際も、この検査を利用できたので安心して会うことができた人が多かったようです。

セルフ検査キット

 4月7日にはコロナセルフ検査の導入も始まりました。セルフ検査ということなので、検査は自分自身で行います。こちらも無料で、この検査キットは薬局で一人ひと月当たり5つまで入手可能です。綿棒で鼻の入り口を擦り、その綿棒を検査キットの液に入れます。その液をテストスリップに垂らして結果を待つだけというものです。

 検査キットの配布が開始されてまだ日が浅いにも関わらず、この検査キットを用いての日常が当たり前になりつつあり、会議や人と集まる前にエチケットとして自ら使用する人が多くなってきているようです。これらの検査結果がどのように生活で活かされるのかという政府からの具体策は今のところ出てきていませんが、この結果を用いた上での規制の緩和(主にイベントやコンサートの開催など)への現実的な足がかりになるのではと多くの期待が寄せられています。