別府の賑わいを甦らせ、若い方の雇用の受け皿として、住民と共生する-星野リゾート 界 別府 総支配人 廣岡太郎氏
日本人のお客様に評価されることが、
コロナ禍収束後に海外のお客様に選ばれるための最低条件
-別府には多くの旅館やホテルがあります。その中でどのように差別化をされていくのかお聞かせください。
廣岡 界 別府は70室という別府の中では小さな施設です。この建物を「ひとつの温泉街」として表現すると申し上げましたが、ロビー、ライブラリー、売店などはそれぞれ小路の中に顔をだす商店のようなイメージで、お客様は小路をそぞろ歩きます。建物の中に現れる庭園を通って大浴場へ行き、お寛ぎいただく。客室は裏路地を通ってたどり着くひとつの宿として表現しています。そのような楽しみ方をする旅館であること、そしてそのコンテンツを突き詰めることが他社様との違いにつながると考えています。
-お客様は旅館の中だけで十分楽しめるイメージでしょうか。
廣岡 施設の中だけで楽しんでいただくことも可能だと思いますが、魅力的な別府の街に足を伸ばしていただきたいと思っています。地獄めぐりだけではない何かが今、別府では生まれようとしていると思いますし、住民の皆さんが大切にしてきた何かに触れることが旅の醍醐味のひとつになると考えています。
-想定されている顧客層についてお聞かせください。
廣岡 コロナの影響が続いているうちは、県内ないし九州・中国地方のお客様が主たるターゲットという認識でいます。コロナが少し落ち着いた頃には全国からお越しいただけるように認知を広げていきたいと考えています。そして、日本のお客様に評価されることが、いずれ回復するであろう海外からのお客様に選んでいただける宿の最低条件だと考えています。
-旅行会社との協業についてお聞かせください。
廣岡 旅行会社様と当施設は、旅の魅力を旅行者に伝えるという意味で同じ方向へ向かっていると考えています。コロナへの対策も含めてしっかりと情報を提供させていただきながら、観光業界の活性化に共に取り組ませてもらうのがいいのではないかと考えています。
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