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21年入社式:日本旅行代表取締役社長 小谷野悦光氏

  • 2021年4月5日

 新型コロナウィルスの影響により、入社式の開催については慎重に検討を重ねてきましたが、3月21日に緊急事態宣言が解除され、こうして総勢19名の新しい仲間を直接この場に迎えて開催することができ、大変うれしく思います。

 皆さんは今日から社会人としての新たな人生がスタートします。そして自らの将来を日本旅行に託し、高い志と決意を持って本日を迎えられたことと思います。その思いをしっかりと受け止めるとともに、今後の皆さんの活躍を期待し、全社員・全役員を代表して私からメッセージを送りたいと思います。

新型コロナウィルス禍における旅行業界

 ご承知のとおり、新型コロナウィルスの影響は、私たち旅行業界に甚大な影響を与えています。全世界の移動が止まってしまった今回のような状況は、日本最古の旅行会社である日本旅行にとっても、世界大戦の時を除いて初めての経験です。皆さんや皆さんのご家族も会社の状況について心配をされていることと思います。しかしながら、この状況を嘆いていても仕方ありませんし、この壁は必ず乗り越えられると信じています。ワクチン接種が順調に進むことによって、感染拡大は少しずつ収束するものと思いますが、当社を取り巻く環境は、急激な変化を続けています。企業関連需要の停滞、テレワークの拡大による出張の減少、お客様のニーズの変化等、「コロナ禍前の状況には戻らない」ということを前提に、会社は様々な取組を進めようとしています。

「抜本的構造改革」の推進による持続的な成長へ

 昨年1月にスタートをさせた中期経営計画「TRANSFORM 2025」は、コロナ禍による環境の激変を踏まえ、一旦凍結としてきましたが、マーケット環境に応じて取組を変化させ、または大幅に前倒しで実施するために、見直しを行うこととしました。具体的には、「TRANSFORM 2025」の方向性をベースとし News Release 日本旅行ニュース 2021たうえで、大幅なマーケット変化に対応できるという視点で見直しを行っています。これは、従来の「旅行代理店業」から「アライアンスパートナーとの共創でお客様の求める価値を実現する『顧客と地域のソリューション企業グループ』」への転換を目指したものです。重要なキーワードとして、「アライアンスパートナーとの共創」があげられますが、共創の「共」は「共同」の「共」、「創」は「創造」の「創」という漢字で、その意味は、「異なる立場や業種の人・団体が協力して、新たな商品・サービスや価値観などをつくり出すこと」です。当社はコンサル、情報・通信、システム、人材派遣、物流等の異業種との連携をこれまで以上に重視し、新たな価値を創造していきます。

 また「ソリューション企業」も重要な概念です。コロナ禍によって人々の流れが停滞し、お客様のニーズも変わっていくなか、当社の思いが先行した「プロダクト・アウト」の事業から、法人、個人のお客様、または行政やサプライヤーなど地域の皆様の課題を解決する「マーケット・イン」の事業への転換を各分野で進めていきます。また、課題解決にあたっては、これまでの旅行業分野にとどまらず、パートナーとの連携拡大により、各種予算事業の事務局運営など、人の移動を前提としない非旅行業分野への進出を積極的に行い、事業構造の改革に取り組んでいきます。

 個人旅行分野についてはウェブ販売モデルへの構造転換を進めます。特に当社の強みであるJRセットプランを活かしたアライアンスを推進していきます。また、着地コンテンツやエスコート商品の造成にも力を入れていくとともに、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の取組をはじめとした、DX(デジタルトランスフォーメーション)の展開を強化していきます。これらの取組を通じて国内商品の「赤い風船」のウェブ販売を大幅に拡大させ、販売比率を2019年度の38%から2025年度には70%とする目標を掲げています。

 法人営業分野では先ほどお話しした通り、非旅行業を含むソリューションビジネスを異業種等のアライアンスパートナーと共創し、地方創生事業や自治体から発生する公務需要の取り込みを強化していきます。

 店頭店舗の縮小や法人営業の大都市圏へのシフトなど、運営体制の見直しを行う一方で、デジタル活用による新たな価値の創造に取り組みます。先ほどお話ししたMaaSに加え、個人旅行におけるオムニチャンネル化やOMO(ウェブとリアルの融合)の推進、法人営業ではリモートでの効果的な営業展開やニューノーマルを踏まえたデジタル活用によるMICEを展開していきます。また、SDGsについても、経営の柱として取組強化を図ります。

新入社員への期待

 皆さんは、まさに時代が大きく変化する過渡期に入社された訳ですが、むしろ、こうした時期に入社された事をチャンスと捉え、既成概念にとらわれない柔軟な発想と行動力、そして若い感性で、将来を切り拓く中心的な存在となっていただきたいと考えています。当社の行動規範にある通り「『出る杭』となることを恐れず」一人ひとりが変化を起こしていくことが日本旅行の変革につながります。

 その第一歩として、この入社式後、皆さんには17日間の研修を受けていただきます。研修では、「旅行業のプロフェッショナル」としての土台を築くための数々のプログラムを用意しています。また、社会人としての心構えや、当社及び当社を支えるグループ会社の業務についてもしっかり学んでいただきたいと思います。振り返ってみると、面接、内定式など、ほとんどがオンラインの開催でしたので、会社の雰囲気もよくつかめずに、少なからず不安を感じていた部分はあると思いますが、今後は大丈夫です。この研修を通じて、会社の様々な面を直接感じていただきたいと思います。同期入社となる皆さんが一堂に会するのもリアルでは初めてです。ソーシャルディスタンスは保ちつつ、大いに親交を深めていただきたいと思います。

 研修後はそれぞれの箇所に配属されることになりますが、強く意識してほしいことが一つあります。それは『基本を大切にする』ということです。社会人としての基本は、「挨拶」、「身だしなみ」、「ホウレンソウ」、「時間厳守」など様々です。入社したての皆さんにとって、出来ないことや解らないことが多い中、「挨拶」だけはすぐに出来ることです。まずは「挨拶をしっかりする」ということを覚えておいて下さい。皆さんの「挨拶」が職場に活気を生むことになります。

「夢と期待」をもてる会社に

 最後になりますが、皆さんにとって今年は学生から、社会人となる人生の中でも大きな節目の年だと思いますが、私自身にとっても、日本旅行の社長となって初めて新入社員を迎えるという特別な年です。何かが始まるというワクワク感は皆さんと同じだと思っています。日本旅行がこの壁を乗り越え、「夢と期待」をもてる会社に成長していけるように、共に頑張っていきましょう。

 改めて、皆さんの入社を心より祝福して私からの歓迎のメッセージと致します。