【若手ホテリエ覆面座談会・後編】将来のキャリアプランは?コロナ禍のなかホテル業界で働き続ける理由は?

「苦しい時間は自己研磨の時間」 コロナ禍でもホテル業の魅力は変わらず

 若手ホテリエによる覆面座談会の後半は、各人の将来のキャリアプランや、コロナ禍でホテル産業が苦戦するなか、ホテリエとして勤め続けることを決意した理由などについて聞いた。(前編はこちら






【参加者】
Aさん(39歳、男性)東京の外資系ホテル、沖縄のリゾートホテルを経て、高級サービスアパートメント勤務。ホテル業界13年目
Bさん(28歳、男性)沖縄県のホテル会社勤務、ホテル業界6年目
Cさん(28歳、男性)都内の外資系ラグジュアリーホテル勤務、ホテル業界5年目
Dさん(26歳、女性) 全国チェーンのホテル所属、沖縄のリゾートホテルでベル勤務、ホテル業界4年目
【モデレーター】
近藤寛和氏 宿屋大学代表、東京YMCA国際ホテル専門学校講師、立教大学観光学部兼任講師

-今後のキャリア形成についてお考えをお聞かせください

目下の目標はマネージャーになること、さらには支配人になってホテル全体を見ることです。今後の課題は、コスト管理はもちろん、マーケティングの知識や観光産業全体に対する大きな視野を持つこと。長期的なキャリアデザインに関しては、具体的に決めすぎると目の前のチャンスに挑戦することを拒む材料になりかねないと思っているため、あえて考えていません。

ホテリエになった当初は都内のホテルでマネージャーになることが目標で、沖縄でマネージャーとして働く事は全く考えていませんでした。にもかかわらず沖縄行きを決心したのは、最初のホテルで研修を受けてキャリアアップのためにチャレンジする準備をしていたことと、クロストレーニングで韓国のホテルで働いたことで働く場所に対する執着がなくなったことです。

最初のホテルで「このままではステップアップに時間がかかる」と思い、チャンスを求めていたときに沖縄からお誘いがあり、転職を決意しました。沖縄への転職で、今までチャンスに飛びつくハングリー精神やフットワークの軽さが足りていなかったことに気付かされました。

同じグループ内でも新しい物件ができたり、ポジションが空いたりとチャンスはたくさんあります。今後もやってみたいと思うことに柔軟に素直でいたいと思います。

今は東京で働いていますが、ここで学んだことを地方にも還元していきたいです。具体的には、私たちのような若い世代のリーダーシップが地方都市にも貢献できる仕組みづくりがしたいです。特に資源の限られた地方でも成り立つ分散型ホテルの発想に関心があります。

本来一つのホテルに集まっている機能を分散させて、地域全体でゲストを迎える。そんな低価格・多機能の宿泊施設を展開し、地域経済に貢献したいと考えています。そのモデルケースとなる宿泊施設の立ち上げを地元の行政と計画中です。未開拓の分野ですが、ラグジュアリーホテルで学んだ顧客関係管理の経験や部署間の連携、高品質なサービスを提供することは、大型のフルサービスホテルだけではなく、こうした場づくりにも転用できると考えています。

今はソーシャルメディアを使ったマーケティングに興味があります。私たちの世代では生活の中で欠かせないソーシャルメディアを活用し、沖縄やホテルの魅力を伝えてみたいです。

正直なところ、具体的なプランはありません。しかし、ホテルで働く従業員の収入や働きがい、誇りなどの満足度を上げたいと思っています。「働く人の環境を良くしたい」という思いはずっとあり、その実現のために私自身が経験を積み、力をつけていかなければと感じています。

まずは、今ある仕事にしっかり取り組み、一つ一つクリアして自分の仕事、働き方、生き方に誇りを持てるようになり、周りにも良い影響を与えることができる人になりたいです。