【インハウス旅行会社に聞く】コロナ禍での気付きを大切に、新しい旅行の形を-ダイキン福祉サービス 本村一郎氏
ダイキン福祉サービスの本村一郎氏は、空調事業などで知られるダイキン工業に入社し、経済団体への出向や長期の海外駐在の経験を持つ、旅行会社としては珍しい経歴の持ち主だ。インハウスエージェントの立場から親会社に向けてコスト削減や出張者の安全確保のための提案を続けているという本村氏に、コロナ禍中の取り組みについて聞いた。インタビューは1月22日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
本村一郎氏(以下敬称略) 当社は空調事業や化学事業、フィルタ事業などを展開するダイキン工業の人事部門が主管するインハウスエージェントです。保険、商品、旅行をはじめ、取扱説明書などを作成する印刷部や製作所のグリーンメンテナンスを行う造園部など8部門で本体のビジネスサポートを行っています。旅行については国内、海外の業務出張、MICE、視察、団体などの法人旅行、個人旅行、インバウンドなど、関連する業務全般を取り扱っています。
私は1988年にダイキン工業に入社して空調部門に配属された後、太平洋人材交流センターという経済団体に出向し、中国や東南アジアの企業経営者を日本に招いて日本的経営を学んでもらうというインバウンドの先駆け的な取り組みに関わりました。ダイキン工業に戻った際には化学事業部に配属となり、その後事業部を越えた異動を4回ほど経験。化学事業部在籍中の30代から40代にかけての10年間は北京、上海、香港に駐在し、現地事務所や販売会社の設立、マーケティングなど幅広い業務に携わりました。
ダイキン福祉サービスには2015年の年末に出向となり、初めて旅行業に携わることになりました。旅行業界ではおそらく異質な経歴で門外漢的な存在かと思いますが、海外赴任と複数回の部署異動で得た経験や社内外の人脈を活かして業務に当たっています。
本村 やはり「安全」だと思います。例えば国内出張では、交通手段は新幹線が良いのか、飛行機が良いのか。海外出張では空港や街はどんな雰囲気なのか、トランジットはどうすればよいのか、出張者は分からないことも多いと思いますので、旅行会社には現地の情報を把握して誘導してもらいたいと思います。当社のスタッフも旅行が好きでよく旅行に行っているのですが、そうした各自の体験を会社全体で積み重ねてユーザーにご案内できると良いと考えています。なかなかスタッフの少ない当社では最新の情報をアップデートするのは難しいかもしれませんが。