「HISは危機のたびに飛躍してきた」HIS会長兼社長 澤田秀雄氏-新春インタビュー
コロナ禍を機に国内旅行の強化に本腰
将来の柱となる新規事業創出にも着手
エイチ・アイ・エス(HIS)にとって記念すべき創業40周年となるはずだった2020年は、新型コロナウイルスにより予想もしない展開を迎えることになってしまった。海外旅行の雄としての地位を固めてきたHISの業績も大打撃を受け2020年度は同社初の赤字決算となった。しかし代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田秀雄氏は、「過去にも大きな危機を乗り越えるたびに飛躍してきた」と前を向く。未曽有の危機を迎えても、むしろピンチはチャンスとばかりに打ち手を繰り出す澤田氏の未来戦略を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
-2020年は新型コロナウイルスにより観光産業全体がこれまで経験したことのない状況に置かれました。HISはその危機的状況にどのように対応したのでしょうか。
澤田秀雄氏(以下敬称略) HISは海外旅行を主力事業としてきたため、海外旅行需要がゼロになり非常に厳しい状況に直面した。2020年10月期は創業以来40年間で初めての赤字決算となった。旅行事業に係る国内従業員だけでも6000人以上を抱えており、海外拠点も200以上ある。このまま行けば干上がってしまう。
そこで、この機会に新規事業に挑戦して道を切り拓こうと、社内で事業提案を募集したところ5500件以上ものアイデアが集まった。その中身を整理・検討して会社として10の新規事業分野を手掛けていくことを決め、いま新しい事業を始めつつある段階だ。3年後、5年後には、そのうちのいくつかがHISを支える柱に育っていくものと期待している。