新興航空会社のコロナとの戦い方-スターフライヤー代表取締役社長の白水政治氏

年末年始の需要増に期待
機内プラネタリウムなどで独自路線を貫く

-社員のアイデアを活用した、プラネタリウムを使ったユニークなプランを発表しました

企画の発案者である川内丸さん 白水 10月から、大平技研が開発したプラネタリウムを6台使用し、機内で満天の星空が楽しめる北九州空港発着のチャーターフライト「スターライトフライト」を実施している。商品発表後、ウェブサイトにアクセスが集中してサーバーが込み合うほどの人気ぶりで、応募者が多かったので参加者は抽選で決定することとなった。1回目は10月17日で、2回目は12月5日、3回目は12月12日に実施する予定だ。今後は羽田発着のプランも検討している。

 そもそもアイデアは昨年社員を対象にしたアイデアコンテストで特別賞をとったものだ。入社4年目の川内丸夏希さんの発案で、もとはエントリーシートに「入社したら実現したい企画」として書いていたものだ。プラネタリウムを機内に映すためには機内を暗くしなければならないが、非常灯はどうするのか、映写機を置く際の安全上の問題はあるのか、など、すべてのハードルをクリアして実現した。

 今、コロナ禍で先が見えず、勤め先が倒産したりリストラにあったりと暗い話が多い。多くの日本人が下を向くなか、夢と希望と感動を少しでも感じていただければという思いで実施している。

プラネタリウム「MEGASTAR CLASS」6台により、機内に満天の星空を作り出す  プランは大平技研代表取締役でプラネタリウム・クリエーターの大平貴之さんに協力いただいている。大平さんには実際に機内で解説をしていただいたが、そのなかで「皆さんが見ている星は何十億年の命がある。人は高々100年しか生きない。それに比べたらコロナなんて一瞬なので、そんなものでくよくよしては駄目」とおっしゃっていたのがとても印象的だった。私も第1回に参加したが、フライト後に機内から出てくるお客様の表情を見ると、涙ぐんでいる人がいっぱいいらっしゃった。

 こうしたユニークな企画を実施できるのは弊社くらいの規模ならではだ。未発表のアイデアもある。手軽で良いサービスを提供する「フルサービスロープライスエアライン」として、FSCにはできず、LCCには思いつかないアイデアをどんどん実現していきたい。

-最後に、旅行会社に向けたメッセージをお願いします

白水 旅行業界の方は数多く知っている。コロナ禍の今、特に海外を主とする旅行会社の方々は大変な思いをされていると思う。国内もGOTOキャンペーンでお客様が増えてきてはいるが、本調子ではなく前途多難だと思う。しかし、やるべきことを一生懸命にやり、今を乗り切れば需要は絶対に戻ってくると思う。大変だと思うが、力を合わせて業界の皆で頑張っていただきたい。

インタビューを終えて
 今回はスターフライヤー社長の白水さんにお話を伺いました。2時間近く取材をさせていただき、色々なお話を伺った中でも特に印象に残ったのは「国内はもとより、海外も含め観光・業務共に需要は変化すれど必ず戻る」と言明されていた事です。我々観光産業が直面している今の状況ではどうしても悲観論が大勢(私を含め)を占めますが、有り得ない事が起こり需要が蒸発したなら、また一方では大方の予想に反し、需要は戻るあるいはコロナ前を超える事だってありうるのではと、思わせていただきました。

 白水さんが座右の銘とされている一休宗純和尚の「大丈夫だ、心配するな、なんとかなる」と信じ、やるべき事・やれる事に死に物狂いで取り組み、この危機を観光産業全体で乗り越えていきましょう。