ツーリズムEXPOが沖縄で開幕、コロナを乗り越え持続可能な国際観光復活めざす

今年の全体テーマは「持続可能な発展の為に今こそ観光の役割を果たす!」

 「ツーリズムEXPO 旅の祭典 in 沖縄」が29日、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開幕した。日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)が共催する世界最大級の観光イベントで、2014年の初開催以来、東京以外の都市で行われるのは昨年の大阪に続き2回目。

 今年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、当初の計画より規模を縮小した一方で、オンライン参加での商談会、時間帯別の事前登録制による入場規制など新しい取り組みにもチャレンジ。11月1日までの4日間で2万2000人の来場を見込んでいる。

JATAの坂巻氏(左)より首里城再建のための支援金が寄付された

 開会式に先立ち行われた記者会見で、JATA会長の坂巻伸昭氏は、「人が動かない、人が集まらないということが、観光業界のみならず地域経済に非常に大きな影響を与える。逆にいえば、人が動く、人が集まる力は非常に大きなものであると考え、”旅のチカラで日本を世界を元気に”というテーマを掲げ、規模を縮小して継続開催することを確認した」と開催の意義を説明。

 続いてツーリズムEXPOジャパン実行委員会委員長の高橋広行氏(高ははしご高)が開催概要を紹介し、今年の展示会には国内28道府県と海外30カ国・地域の情報提供があり、商談会では1786セッションが組まれているなど具体的な数字を示した上で、「感染症対策を徹底し、ニューノーマル時代にふさわしい、今までとは少し違ったツーリズムを届けていきたい」と述べた。

 開会式では、日本観光振興協会会長の山西健一郎氏が主催者を代表してあいさつ。新型コロナウィルス感染症の世界的拡大が観光産業に深刻な打撃を与える中、7月22日に始まったGo To トラベルキャンペーンにより国内需要は徐々に回復の兆しを見せ、10月20日の国土交通省の発表では延べ宿泊者数が2518万人に達したことを紹介。とはいえ世界各国に目を向ければ、まだまだ厳しい状況が続くと思われるものの、「観光の力を信じ、本日ご参集の皆様と一致団結して、今回の世界的な危機を一刻も早く克服すべく、国際交流の世界的なきっかけに向けたメッセージをここ沖縄から世界に発信して参りたい」と訴えた。

 また、来賓として出席した国土交通省観光庁国際観光部長の金子知裕氏が、赤羽一嘉大臣のメッセージを代読。依然として厳しい状況が続くインバウンドについても言及があり、水際対策の強化により需要が激減しているとはいえ、「昨年3200万人の外国人旅行者を引きつけた自然・食・伝統文化・芸術・風俗・習慣・歴史など、日本各地の観光資源の魅力が損なわれたわけではない」と指摘。Go To トラベル事業開始に伴う感染者数が2桁台に抑えられていることから、「一層強化されたわが国の公衆衛生レベルの高さは、今後インバウンドの再開にあたり、世界に向けて誇りあるセールスポイントになると確信している」と期待を込めた。

下地氏は沖縄観光回復プロジェクトの一つに防疫型沖縄観光推進を掲げ、ガイドラインや水際対策などの情報発信を行い安心・安全に努めていくとした

 閉会後は「コロナ感染を乗り越え、強靱で持続可能な観光成長をめざす」をテーマにした基調講演に移り、開催地である沖縄県を代表して、沖縄観光コンベンションビューロー会長の下地芳郎氏が「強い観光、やさしい沖縄」と題して講演。沖縄県では現在、「憩うよ、沖縄。」キャンペーンを展開しており、癒し・リフレッシュ・開放感といった沖縄の強みを生かしつつ、感染防止のガイドラインに沿った防疫型旅行プランに取り組んでいることを紹介した。当初はもう一人、フィリピン共和国観光大臣のベルナデット・ロムロ・ブヤット氏の講演も予定されていたがコロナ禍で来日がかなわず、ビデオメッセージが寄せられた。

※訂正案内(編集部 2020年10月30日10時30分)
訂正箇所:第3段落第1文
誤:坂巻信昭氏

正:坂巻伸昭氏
お詫びして訂正いたします。