【コロナに負けず】民泊に新たな道を-matsuri technologies株式会社 加藤拓真氏

━一時帰国.comのサービスの特徴を教えてください

加藤 他社との最大の差異は圧倒的な物件数にある。自社で所有する物件と民泊オーナーから借り上げた物件に加え、他社の民泊物件を預かって運用しているのが一時帰国.comの特徴だ。現在は国際線のフライトが限られていることもあり、東京周辺と大阪が利用の中心となっているが、日本全国の物件を揃えている。
 加えて、隔離期間中の滞在先だけでなく、賃貸マンションの仲介事業も行っているため、空港-宿泊施設間の移動から隔離期間明けの住宅探しまで、一気通貫で手配できることも強みとなっている。

 また、日本時間の深夜2時頃まで自社のスタッフを配置し、海外からの問い合わせや到着後の設備の不具合などにも可能な限り時差なく回答する体制を取っている。

━今後の事業展開と、コロナ後への見通しについて教えてください

加藤 一時帰国.comに関しては、旅行会社を経由するB to B to Cの展開を予定している。旅行会社より顧客をご紹介いただき、コミッションをお支払いする形式で、手配はすべて弊社で行う。送迎の手配から隔離明けの住まい探しまでを旅行会社で手配をしようとすると負担が大きいが、一時帰国.comを利用することで、新しいサービスを始めたいと考えている方も参入しやすくなるのではないかと考えている。

 また、新しいサービスとして、物件の賃借権を売りたい方、買いたい方のためのプラットフォーム「ホテル民泊賃借権M&A」を開始した。民泊の利用者はインバウンド需要が約8割を占めていたが、それが今はほぼ0の状態。ホテルもインバウンド頼りの面が大きかった。GO TOトラベルキャンペーンではリゾートホテルや温泉旅館など一部の需要は回復しているものの、ビジネスホテルなどは恩恵を受けにくく、事業をやめたいと考えている方も多い。一方、価格が下がったタイミングで新規参入を考えている方もいる。「やめたい人がやめやすく、やいりたい人が始めやすい」環境を提供していきたいと考えている。

 今後の需要回復については様々な予測がされており、はっきりしたことは申し上げられないが、インバウンドに関しては年明け頃から戻り始めるのではないか。日本は海外の旅行者から訪れたい国の上位に挙げられている。希望も込めて、コロナ終息後、インバウンドに関してはアウトバウンドよりも早い段階でコロナ以前以上の需要が復活するだろうと考えている。

インタビューを終えて
主に訪日旅客を対象とする民泊の運営をされているmatsuri technologiesの加藤氏にお話を伺いました。コロナによって消失した需要にばかり目が行き勝ちですが、この状況でも帰国せざるを得ない方々が必要とされるサービスをいち早く開発・提供し、ビジネスとして成果を出すだけでは無く、世の中の役に立つ「良い会社だな~」と感じた気持ちの良いインタビューでした。