【コラム】コロナ後の不都合な真実「戻らない海外出張需要と不毛な対立」
8月後半から9月にかけて、インハウス旅行会社を含め一般企業の方々に今後の海外出張に関してお話を伺いました。
・出資先企業の取締役会や株主総会への参加が出張全体の2割を占めていたが、web参加可能となったためその分の出張は減る・やってみたら社内会議はもちろん、商談で有ってもzoom等でのwebミーティングで十分な事が上層部含め広く認識された・今後しばらくの間は海外出張者は帰国後一定期間在宅とするため、一度に複数国訪問・長期化となるだろう・リスクとコストを軽減するため、これまでより一回の出張人数を減らし、一部は日本からのweb参加と言うハイブリッド型にしていく
メーカー・商社・金融等業種による大きな違いは無く、皆さん一様にコロナ収束後でも海外出張は最大で6割以上、最小でも4割減とお答えになっています。この答えには感染拡大が収まらず、長引く自粛状態による不安感も多少は影響しているのでしょうが、出張者或いは出張者を送り出す企業=当事者の感覚ですので、大きくは外れていないと考えるべきかと思います。
これは旅行会社はもちろん、航空会社やホテル等全ての観光産業にとって極めて不都合ですが、見えない振りをしても何も解決しない正対すべき真実だと捉えるしか無く、かといって秘策は無く、もがきながら何とか各社それぞれの答えを出して行くしか無いのでしょう。
また、コロナの副作用が人々の分断・対立や不寛容と言う形で顕在化しつつ有る事、そしてそれらが観光産業全般に長期にわたり悪い影響を与えることを懸念されている方もおられることと思います。
感染リスクを避けるため自粛を選ぶ方と選ばない方
感染防止を優先する方、経済を優先する方
少なくとも我が国日本においては、何を選択するかは原則本人の判断によるべきです。もちろん、自粛を選ばない・経済を優先する方も感染拡大防止に最大限の注意を払うのは当然ですが、立場や価値観はそれぞれなのですから、他方を非難する事にはなんの意味も効果も無く、不毛な対立を生むだけです。
観光産業に身を置く我々は、他者の判断を非難せず、尊重する姿勢を持ちたいと自省も込めて思います。そもそも旅行とは本質的に多様性を尊ぶ事なのですから。