【コロナに負けず】ベンチャーリパブリック代表取締役社長の柴田啓氏
- 2020年6月17日
オンライン化は確実に加速、徹底した対応が必要
ニューノーマルにおけるストーリー創りも重要に
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、壊滅的な被害を受けている観光産業。旅行会社もその多くが営業活動を大幅に縮小して嵐に耐えている。各社は現状や回復の時期をどのように分析し、どのような対策を講じているのか。旅行会社をはじめとする関係企業の経営者やキーパーソンの率直な意見を掲載する本シリーズ「コロナに負けず」の第4弾は、LINEと共同で「LINEトラベルjp」を運営するベンチャーリパブリックの代表取締役社長で、トラベルテックの世界で強い発言力を持つ柴田啓氏に話を聞いた。インタビューは6月3日に実施した。
柴田啓氏(以下敬称略) 01年にベンチャーリパブリックを設立するにあたり、まずはタビマエからタビアトまで一気通貫で、ユーザーにとって最適な情報と予約の機会を提供したいという考えがあり、その最初の切り口がメタサーチだった。ただし、メタサーチでは価格の比較はできても旅行の“ストーリー”までは分からない。旅行という夢を売るには、タビマエやタビナカの段階でその良さを伝える必要があると思い、旅行情報メディアとして「Travel.jp」を始めた。
2018年にはLINEとの資本業務提携により「LINEトラベルjp」をスタートさせたが、LINEアプリ版とウェブ版の2つによって、メタサーチだけでも情報メディアだけでもない一気通貫のサービスを提供していると思う。重要なのは、いかに多くのユーザーに使っていただき、お得なだけではない、良い旅行体験をしていただくことだ。そのために将来的には、この2つとはさらに違う取り組みも開始したいと考えている。
柴田 「LINE」はすでに日本を代表するアプリとなっているが、「LINEトラベルjp」の公式アカウントの登録者数は今年の3月には2000万人を突破し、現在は約2200万人にまで伸びている。ウェブ版も順調で、昨年夏には月間の訪問者数が2700万にまで増加した。旅行系ウェブサイトの訪問者数ではじゃらん、楽天、トリップアドバイザーに次ぐ規模で、アプリ版とウェブ版を合わせると、オンライン旅行サービスとしては日本で3本の指に入る規模にまで成長したと見ている。
「LINEトラベルjp」は旅行予約を生み出すだけでなく、参画するプレイヤーのブランディングにもつながっている。旅行業界でもここ1年ほどで、マスメディアなどで使っていた予算を「LINE」に投じる傾向が強くなってきた。目標としているタビナカ市場の開拓についてはまだ道半ばだが、引き続き取り組んでいきたい。
柴田 さまざまな業種において、売上高が前年比で8割減や9割減と聞いているが、我々も同様で、非常に厳しい状況と認識している。2200万人の登録者数を誇る「LINEトラベルjp」だけに、日本全体の影響をそのまま反映していると言える。
スタッフについては、6月第1週から週1日程度出勤する予定だったが「東京アラート」が発出されたので、引き続き全員がリモートワークを続けている状況だ(編集部注:東京アラートはその後12日に解除。現在はリモートワークをメインに、一部はオフィスで勤務)。