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コロナ禍がミレニアル女性に与えた影響は-JOTCセミナー

  • 2020年5月27日

Zoomで初のオンラインセミナー開催
「TabiMUSE」運営会社による調査結果も

セミナー配信の様子(写真提供:JATA)  理想とする旅のスタイルについては、出発から帰宅までの間だけでは完結しない傾向が強いことを特徴として指摘。「彼女たちの旅行は事前準備から始まっており、帰国後に旅の報告をSNSで発信するまで続く」と強調するとともに、「(業界関係者の)勝負は、タビマエの準備段階で魅力をどう演出するかから始まっている」と述べ、「どのスポットでどんな素敵な写真が撮れるか、どのレストランでどんなお洒落をして食事を楽しめるのか、それらをいかに魅力的に“妄想”させるかが重要になる」とアドバイスした。

 旅行先でのスケジュールについては「効率的」であることが重要と説明。「休暇を取りづらいなか、少ない日数でも沢山楽しめる効率主義の旅行を望む。そのためには早朝からの行動も厭わない」のが、ミレニアル世代女性の行動様式だと語った。

 こうしたミレニアル世代の女性の特徴を踏まえて、バリーズは同社が選定した女子旅の達人(MUSE)が企画するツアーをプロデュース。昨年には第1弾として、パリ好きのkaoriさんがお気に入りのスポットをまとめた企画を、日本旅行が「OLトラベラーkaoriさんと行く、カメラ片手にエッフェル塔と春のパリ」として商品化した。エッフェル塔をさまざまな角度から撮影するためにインスタ映えスポットを何ヶ所も訪問したほか、kaoriさんがInstagram用に参加者の写真を撮影するなど、3泊5日の短い行程ながらパリを楽しむ工夫を凝らし、好評だったという。

 また、第2弾では世界中のカフェを旅するcremenatsuさんによるバンコクへのツアー「カフェトラベラーcremenatsuさんと行く、バンコクの厳選したカフェをめぐる週末ツアー」を企画。内容は2泊4日でバンコクのカフェをひたすらホッピングするもので、人気のカフェは貸し切りにし、参加者が思う存分に写真を撮影できるようにした。

 野々村氏は両ツアーについて「パリは33万8000円、バンコクも14万8000円と、価格設定については決して安くなかったが、ともに催行予定人数の15名がすぐに売れる人気ぶりだった」と説明。人気を博した理由については、企画の内容もさることながら「企画段階から『TabiMUSE』の読者を巻き込み、SNSを通じてどのような日程が良いか、どこに立ち寄りたいかといった質問を投げかけ、反応を見ながら企画をまとめ上げていった手法も効果的だった」と振り返った。

 参加者からは、自分では探せなかったり、移動のハードルが高かったりする撮影スポットに行けたことや、上手な写真の撮り方を教えてもらえたことに対する評価が高かったという。また、同じ好みを持つ旅仲間ができたことに対する満足度も高かったとのことで、野々村氏は「友だち同士では休みの日程を合わせづらい。しかし趣味が合う人々が参加するツアーであれば、自分の都合さえつければ1人参加でも十分に楽しめるという、ミレニアル世代らしい反応だった」と分析した。