出国2000万人時代のパッケージ商品とは-JATA経営フォーラム

  • 2020年4月1日

分科会の様子  日本旅行業協会(JATA)はこのほど、「JATA経営フォーラム2020」を開催した。分科会Aでは「海外旅行2000万人時代を迎え、次なる時代の旅行商品とは!」をテーマに4氏が議論。Eコマースが旅行商材の流通を大きく変え、直販化も進んでいるなか、次の時代に期待される海外パッケージツアーの提供のための課題や、旅行による社会課題の解決などについて意見を交換した。

【モデレーター】
JTB執行役員 個人事業本部海外仕入商品事業部長 遠藤修一氏
【パネリスト】
ANAセールス取締役 旅行事業本部長 浅田康夫氏
ベルトラ取締役 海外事業部執行役員 萬年良子氏
クラブツーリズム取締役 テーマ旅行本部長 吉岡敬泰氏

 モデレーターを務めたJTBの遠藤氏は冒頭、2019年の日本における旅行予約のうち75.8%はインターネット予約で、旅行商品の流通がかつてとは大きく変わったことを説明。海外旅行はそのうち63.2%を占めたという。一方で、FIT化やパッケージツアー離れが進むなか、旅行会社の店舗数も15年以降は維持されていることを指摘。オンラインとリアルのせめぎ合いのなか、「旅行会社はどのようにしてパッケージの価値を作っていくべきか」と問題提起した。

クラツー、テーマ旅行は「拡大と深化」へ、課題は人材

クラブツーリズムの吉岡氏  クラブツーリズムの吉岡氏は、「人の手によって旅行を企画し、旅を通じて体験価値を提供していくことを重視している。テーマは多種多様だが、誰がどのような目的を持つかを明確にする必要がある」と同社のテーマ旅行の企画の方向性を説明。テーマ旅行の企画者については「お客様以上に探究心と関心があること、情熱を持っていることが求められる」と述べた。

 その上で、テーマ旅行については今後、「拡大と深化」が必要になると強調。「例えば、音楽を鑑賞するだけでなく、お客様が一緒に合唱する仕掛けなど、「聞く」から「歌う」にテーマを深化させることが求められる」と説明した。また、テーマ旅行においては添乗員がキーパーソンであると主張し、「旅程管理やトラブル対応だけでなく、ナビゲーターの役割も果たす。テーマについてお客様と話ができれば、次の旅へと促すこともできる」と評価した。

 テーマ旅行については、さまざまな顧客へのアプローチ、リピート率の向上、強い参加動機、顧客同士の交流、ウェブとの親和性、ソーシャルメディアでの拡散などをもたらすことをアピール。一方、課題としては「多品種少量販売で常に新しいテーマに挑戦していかなければならず、人材育成などに多方面から取り組まなければならない」ことを説明。キーパーソンである添乗員の高齢化も大きな課題として強調した。