「ビジネス版LINE」はBTMを変えるか-ワークスモバイルジャパンに聞く
出張手配もチャットボットで一気通貫
「LINE WORKSトラベル」が今秋に開始
福山 出張については行き先や宿泊する施設、行動などのパターンが決まっていることが多く、リコメンド機能などのニーズはレジャーほど大きくはないと思うので、現時点で計画はない。ただ、パターンから外れた場合に、最初のリコメンドをどうするかといったことなどについては、考えていく価値があるだろう。
「LINE WORKSトラベル」はあくまでもビジネスのためのツールなので、今のところレジャー向けの「LINEトラベルjp」と連携する計画はない。また、我々が旅行業登録を取得するような展開も考えてはいない。
増田 現在は、保険については損保ジャパン日本興亜、WiFiルーターについては「グローバルWiFi」のビジョン、飲食店予約については海外レストラン予約サービスのたびらくと提携している。そのほかにも業務渡航の手配に必要な複数のパートナーと提携することを考えているが、この3社には構想の段階から参画していただいている。ユーザーにバリューを伝えやすい企業と提携していくことが、ユーザーのためになると考えている。
福山 まずは10%にあたる1万社ほどの利用を見込んでいる。大企業は社内にインハウスの旅行会社を持っているところが多いので、中小企業がメインターゲットになる。サービス開始から1、2年で数万社にはなるのではないか。
増田 「LINE WORKS」には有料版と無料版の2タイプがあるので、まずは今秋に、課金のハードルが低い有料版の利用者向けに提供を始める。出張の件数は時期によって波があるので、利用料は1予約ごとの従量課金制にする。無料版の利用者にも、年内には提供していきたい。
出張手配のプロセスを最初から最後まで一気通貫で完了できるのが「LINE WORKSトラベル」の最大の価値だが、最初は航空券、宿泊、WiFiなどの単品購入が多くなるのではないか。最初のうちはそれでもいいと思っている。
福山 件数については必然的に国内が多くなるが、業種や業態によっては海外が多くなることもあると思う。企業のコスト削減の観点からすると、海外の方が効果は大きい。
増田 日本におけるすべての出張の5%から10%くらいが海外出張と言われているが、本当のところはまだ掴みきれていない。サービスを提供していくなかで、その辺りの割合も分かってくるだろう。
福山 「LINE WORKSトラベル」はあくまでも「LINE WORKS」のユーザーの満足度を高めるためのサービスの1つであって、そもそも発想が違う。他社との競合は意識していない。
増田 テクノロジー企業で働いていると分かりにくいのだが、実態は東京であっても、23区の外側に出るとビジネスのIT化が遅れているようだ。今だに電話やファクス、ホワイトボードに頼る世界が広がっていると聞く。生産性向上や働き方改革の推進が叫ばれているなかで、そのような世界を「LINE WORKS」、そして「LINE WORKSトラベル」がサポートしていければと考えている。