豪州、日本人訪問数が5年で5割増-今年も新路線や特別予算で増加へ
オーストラリア政府観光局(TA)によると、オーストラリア政府統計局の集計で2019年通年の日本人訪問者数が前年比6.3%増の49万8600人となり、2014年から6年連続のプラス成長を実現した。2014年の数値は33万3800人で、5年間の増加率は49.4%増となっている。
日豪間では、昨年9月に全日空(NH)が運航を開始した成田/パース線や、12月からのカンタス航空(QF)による新千歳/シドニー線などの直行便の拡充が続いているところ。TAによると2013年11月までの12ヶ月間では55万席であったが、2019年11月までの12ヶ月間では91万6000席へと大きく増加しており、これらが成長を牽引したとの分析。また、2019年は10月末でウルルの登山が禁止となっており、その前の駆け込み需要もあったと見られる。
今年については、ヴァージン・オーストラリア(VA)による羽田/ブリスベン線やNHの羽田/シドニー線の就航が予定されていることから、さらなる増加が期待される。TAとしても、日本が過去数年間に渡って最も好調な市場のひとつであり続けたことを土台とし、旅行業界と協調して成長を継続していく方針だ。
一方、昨年末から今年にかけて猛威を振るった森林火災については、「広い国土をもつオーストラリアでは、 火災の影響を受けていない観光地が多い」とし、また「 影響を受けた観光地もほとんどが通常営業に戻っており、 これまで同様に旅行を楽しんでいただけます」とアピール。豪州政府としても、1月19日に総額7600万豪ドル(約55億4000万円)の特別予算を発表している。
特別予算のうち6100万豪ドルはTAに配分されており、TAではこのうち2000万豪ドルを国内旅行、2500万豪ドルを海外市場でのマーケティングキャンペーンに、そして残りの1600万豪ドルのうち950万豪ドルを海外メディアの招聘、650万豪ドルを現地商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE)」に投じる計画だ。
海外市場については、当初の予算と合わせて「豪州が持つ国際的なデスティネーションとしての高い評価を守り、修復する」ことに注力。具体的な活動は近く公表する予定だが、世界中の消費者に対して「豪州が安全でお客様をお迎えする準備ができている」ことを強く訴えていく方針という。また、ATEについては、現地サプライヤー向け出展料の大幅値下げや商談会前後のFAMツアーの充実などに投じる予定だ。
TAノースアジア地区局長のアンドリュー・ホグ氏は、本誌取材に対して新型コロナウィルスの影響も念頭に置きつつ、「豪州は日本の旅行業界の皆様と長期間に渡って良好な関係を構築してきた。多少の困難に直面したとしても、皆様のご協力をいただきながら今後も変わらず素晴らしい結果を得ていけることを楽しみにしている」とコメントした。