日本公庫に旅行会社の融資相談60件、新型コロナの影響拡大
政投銀は「地域緊急対策プログラム」で優先対応
このほか、主に大口・中長期の融資を実施している日本政策投資銀行(政投銀)は、2018年9月に創設した独自の融資制度「地域緊急対策プログラム」の対象に、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業を追加した。同制度は各地域の関係支店などの判断のもと、地域金融機関などと協力して実施するもので、政投銀によれば要件や方針などは通常の融資と大きな違いはないものの、緊急性の高い案件として優先的に対応する。審査や融資額、金利、担保・保証人、返済方法などは各社の状況に応じて対応するという。相談件数については公表していない。
信用保証協会は、特に重大な影響が生じている業種について、通常とは別枠で借入債務の80%を保証する「セーフティネット保証5号」を実施。該当業種には旅行業者代理業を除く旅行業を含む。また、自治体の要請があった場合、突発的災害が発生した際に中小企業者を支援するための、別枠で借入債務の100%を保証する「セーフティネット保証4号」も実施する。さらに、一時的な業況悪化などに見舞われている宿泊業者などに対して、必要に応じて経営安定に向けた資金繰り支援を実施するとしている。
財務省や中小企業庁などの関係省庁はこれらの政府系金融機関や信用保証協会に対し、事業者からの返済緩和のための条件変更要望などについて柔軟な対応を求める考え。加えて今後も、事態や地域の状況を勘案しながら、観光業への対策措置など必要な施策を講じるとしている。
雇用関連の対策については、厚生労働省が雇用調整助成金に関して特例を実施。事業活動縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を解雇せず休業扱いなどにより雇用を維持した場合に支給する同助成金に関し、事業が日中間交流の急減の影響を受けていること、前年度の総売上高のうち中国関係の売上高が一定の割合以上を占めていることなどを条件に、支給要件を緩和する。
なお、旅行・観光関連事業者のための相談窓口については、観光庁も各地方運輸局に特別相談窓口を設置済み(関連記事)。そのほか地方経済産業局、中小企業基盤整備機構、商工会・商工会議所、よろず支援拠点、商工組合中央金庫なども経営相談窓口を設置している。政府はコールセンターの設置に総額4億9000万円を充当する考え。