週間ランキング、1位はJTBの「相談料」断念、羽田関連注目ニュースも
[総評] 今週の1位は、JTBが店舗での相談料の収受について半年間のテストを経て取りやめたことをお伝えした記事でした。たくさんお読みいただくだろうとは想像していましたが想像以上で、それだけ様々な立場の方々が注目されていたのだろうと改めて実感しました。私自身は、テスト開始の記事が1位になった当欄で強い期待を表明していたところで、今回の一報は本当に、心底残念と感じています。
わざわざ取材の時間をいただいた関係者の皆様には感謝するばかりですし、お決めになったことにあれこれ言うのは詮無いことかもしれませんが、性急なご判断だった可能性はないのかと思ってしまいます。これまで業界全体で「しないことが当然」と思われ、消費者すらもそのように認識していたことをしようとされたわけですから相当な反発は当然であり、事前の予想を大幅に超えてネガティブな反響があったということかと思いますが、得られたものと失ったものを具体的にお聞きできていませんので実情をお伝えることはできません。
なんとなく、取材の場でも口にしましたが、風呂に手を入れられたら熱すぎて火傷をされてしまい、あわてて冷やされたような印象を受けます。あくまで印象であり、そもそも相談料こそ選ぶべき道だと確信しているわけではありませんが、社内教育や来店予約制は率直にいって目新しい策ではなく、それで根本的な解決が期待できるのであればそもそもこういう話にはなってなく、どうしてももったいないという思いが尽きません。
続いて2位と3位は日系航空会社2社による羽田路線の就航計画で、どこに何便というのは各記事をご覧いただければと思いますが、一度に合計21路線が羽田から飛ぶというのは相応な規模です。就航前後で両社の座席供給量にどれほどの変化があるのかわかりませんが、ここに今週の8位のフィンエアー(AY)など外航各社も加わるわけで、かなりのインパクトが予想されます。
昨今の豪州がそうであるように座席が増えると輸送量も増え、さらなる増便の可能性も見えてきますので、旅行会社にとってシンプルにビジネスチャンスでしょう。成田にとってはチャレンジですが、今月7日には第3滑走路の建設を含めた機能強化について許可申請しており、実現すれば発着回数を最大で現在の2倍となる年間50万回まで拡大できるということです。仮に10万回の増加で全てが180席の小型機で使用されたとしても1800万席という大きな数字になりますから、両空港にまつわる動きは日本の海外、訪日、国内それぞれの旅行市場について将来を左右する重要なファクターとなると思われます。
最近は中国系航空会社の新規就航や増便が相次いでいるところで、今週は7位に入ったトラベルポートのイベント取材で上海を訪れることとなり中国東方航空(MU)便を利用したのですが、往復ともおそらく90%をゆうに超える搭乗率で大盛況でした。また、往路の羽田空港も出国のセキュリティチェックがめまいのしそうなほどの大行列で、韓国や香港など難しい方面があってこれかと驚きました。
なお、今週はこのほか4位にインフィニ・トラベル・インフォメーションの植村公夫社長のインタビューもランクインしました。4位とはいえ他の週であれば1位でもおかしくない水準です。植村社長は10年後も和製GDSとしてサービスを提供すると力強く宣言されており、業界人の1人として頼もしく感じました。とはいえ当然それもユーザーあってこそですから、トラベルビジョンとしても業界の発展に貢献するべく努力を続けなければと思いを新たにしています。(松本)