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「産業」を観光資源に、「まちづくり大賞」表彰式も-ツーリズムEXPO

「海中熟成酒」や「銅器の工場見学」、職人のイメージアップも

金賞を受賞した広田湾遊漁船組合の鍛治川直広氏

 基調講演終了後は、「第13回産業観光まちづくり大賞」受賞者への表彰式と受賞団体によるビジネスモデルのプレゼンテーションを実施。「産業観光まちづくり大賞」は産業観光による観光まちづくりを実践して模範となる優れた事例を表彰する制度で、受け入れ側と訪問側の双方にメリットがあるビジネスモデルか、継続性があるかなどを評価基準としてしている。

 金賞を受賞したのは、岩手県の広田湾遊漁船組合 (広田湾漁業協同組合)「AGING STORY ~広田湾にしかない海中熟成体験と特産品販売による産業活性~」。同団体は17年11月に「広田湾海中熟成プロジェクト」を立ち上げ、酒や飲食物を海中で熟成して常時提供できる体験型の観光サービスを運営している。酒を海中で熟成させることで旨みが増し、味がまろやかになることを活かして「海中熟成酒」を生産し、観光客が実際に水揚げしたり、漁場見学や牡蠣剥き体験を組み合わせたりすることで体験型観光サービスを実現した。

 登壇した広田湾遊漁船組合事務局長の鍛治川直広氏は最後に、「課題もあるし、まだまだ認知されていない。始まったばかりで実績も少ないので、今後、いろんな観光コンテンツを作っていきたい」と意気込みを述べた。

 続いて登壇したのは「地域資源を活用した地域のハブとなる産業観光事業」で経済産業大臣賞を受賞した富山県の能作で産業観光課長を務める北山たけし氏だ。能作は2017年4月に富山県高岡市の伝統産業「高岡銅器」の製造方法、歴史、現状、展望などを一般公開するための社屋をオープンし、また、産業観光部を立ち上げ、工場見学、制作体験、ショップ、地元食材を使用した料理の提供など多彩な産業コンテンツを展開している。

 北山氏は職人やものの価値が低く見られている現実を見て、「これではものが売れないし、生産性も職人たちのモチベーションも下がってしまう」と危機感を持ったと説明。そこで、工場見学を通して実際に現場を見てもらうことで職人のものづくりを正しく評価する場を設けたという。

 結果としては、「たくさんの子どもたちが工場へ来てくれるようになり、職人たちのモチベーションも上がった」とし、さらに「子どもたちがものづくりをして成功体験を積むことで、職人という職業選択が生まれると考えている」とと期待。産業コンテンツの展開以外にも、富山観光のハブとしての役割を担うべく、来館者に富山の魅力を発信。同業者との技術共有や教育活動への参加など、地域産業への発展にも貢献している。