「産業」を観光資源に、「まちづくり大賞」表彰式も-ツーリズムEXPO
このほど開催されたツーリズムEXPOジャパン2019では、「産業観光のビジネスモデルについて」をテーマに「第19回 全国産業観光フォーラム」が開催された。主催は、全国産業観光推進協議会と日本観光振興協会。東京大学大学院経済学科研究科教授の藤本隆宏氏による基調講演のほか、「第13回産業観光まちづくり大賞」受賞者への表彰式を実施したほか、受賞団体がビジネスモデルのプレゼンテーションも実施し、「産業」と「観光」を結びつけるアイディアが披露された。
冒頭の挨拶で登壇した全国産業観光推進協議会会長の須田寛氏は、観光フォーラムへの参加者が年々増えていることに対する喜びを語った後、「産業観光は昨年から新しいステージへ進み、前回の観光フォーラムでは情報システムの整備や海外への展開、イベントの刷新などを提案した」と振り返った。そのうえで、2019年は「産業観光の重点項目として教育との連携を考えている」と述べ、不登校の生徒へのものづくり体験、ものづくりの研修協力や講師の派遣などに取り組んできたと説明。修学旅行を例に挙げて工場見学や農業体験など「教育旅行」の実施を提案し、「さまざまなご意見をいただき、有意義なフォーラムにしたい」とした。
東京大学大学院経済学科研究科教授 藤本隆宏氏
「第13回産業観光まちづくり大賞」受賞団体
金賞:広田湾遊漁船組合 (広田湾漁業協同組合)(岩手県)
経済産業大臣賞:株式会社 能作 (富山県)
観光庁長官賞:志摩市(三重県)
銀賞:オタフクソース株式会社 Wood Egg お好み焼館(広島県)
奨励賞:武蔵野市・武蔵野市観光機構(東京都)
「三方良し」を観光業に、ニーズを理解し設計を
全国産業観光フォーラムではまず、東京大学大学院経済学科研究科教授の藤本隆宏氏が「『良い設計の良い流れ』を作る地域の産業と観光」をテーマに基調講演を実施した。藤本氏は「産業において大事なのは付加価値」とし、その付加価値は「設計情報」に宿ると説明。そして、「良い設計の良い流れ」を生み出すことによって顧客の「満足」、企業の「利益」、地域の「雇用」という「日本が誇る経営思想『三方良し』」を実現できると語った。
三方良しの観光業への応用については、そもそも「構造設計情報を鉄板やプラスチック、シリコンなど形のある直接材料に転写をするのが製造業であり、サービスのような目に見えない機能設計情報を顧客に転写するのがサービス業」であり、根は共通であると指摘。そして、「良い設計の良い流れ」を生み出すポイントとしては、商品開発時に顧客のニーズを見つけて設計を進め、、顧客が「楽しかったな」と思える付加価値を提供できるようにするべきであるとした。