2000万人が達成目前、今後のアウト振興は-奈良参事官に聞く
海外OTAや取引適正化、業法改正についても
「私のなかで一貫している姿勢」とは
観光庁も新たなデスティネーションの開拓に取り組んでいますが、最近では特にロシアとの関係が活発化しています。今年1月の首脳会談では、23年末までに両国の訪問者数を各20万人、計40万人とすることを目標として設定しました。これを受けて4月には日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)、旅行会社、航空会社との官民共同企画によるサハリン視察を実施し、6月から9月にかけては旅行会社8社が「サハリン大自然の旅」と題したパッケージツアーを催行しました。また、6月のG20に合わせて開かれた日露首脳会談では、18年から19年にかけての 日露交流年が成功裡に行われたことを歓迎し、20年から21年にかけては日露地域交流年を実施することで一致しました。
このほか、7月に開始した「ツアーセーフティーネット」の活用も進めています。旅行会社のツアーを利用した海外旅行者を対象に、平時には外務省の「たびレジ」の情報配信、緊急時には安否確認を行うためのもので、今年度は都市別の医療機関・警察署・交通機関などの所在地や電話番号、受付時間、対応言語、ウェブサイトなどを提供する機能、GPS機能を活用して各種機関の位置を地図上に示す機能を追加します。現在は日本旅行、JTB、ワールド航空サービス、ANAセールスが参加しており、そのほかにも大手旅行会社などが参加を検討しています。
奈良 韓国と香港の影響はまだ見えていませんが、基本的に今年もアウトバウンドは好調と認識しています。2000万人の目標達成が見込まれるなか、次の目標についてはトレンドや客観的なデータを踏まえて、世代別の人口動態なども分析しながら、関係者と議論しなければいけないと考えています。今年4月から義務化された、5日間の年次有給休暇の取得が旅行市場に与える影響なども精査しなくてはいけません。
奈良 海外のOTAについては、日本の旅行業者として登録している会社とそうでない会社があります。登録していない会社については2015年に策定したガイドラインで対応していますが、Ctripの事案の発生後は、再びガイドラインの順守を呼びかけたことで、その後は同様の事案は発生していないと認識しています。
観光庁として重要視しているのは消費者の保護で、今後もOTAに対してはガイドライン順守のメッセージを送り続け、消費者に対してはOTAが旅行業登録を取得しているか否かの確認などを呼びかけていきます。