ATOUTフランス、仏RWC組織委員会と協力合意書を締結-新総裁は「日本に期待」
フランス大使館で10月30日、「フランス観光開発機構とラグビーワールドカップ2023組織委員会間におけるパートナーシップ協定調印式」が開催された。次回2023年のラグビーワールドカップ(RWC)フランス大会に向け、フランス観光開発機構(ATOUTフランス)とフランスRWC2023組織委員会は相互に大会や開催地の情報を発信し、大会成功をめざしていく。また、この調印式には今年5月にATOUTフランス新総裁に就任したカロリーヌ・ルブーシェ氏も来日。本誌に対し、総裁としてのプランと日本市場に対する期待を語った。
ATOUTフランスとフランスRWC組織委員会の調印式は、RWC日本大会決勝のため来日している世界各国のラグビー関係者を招いて開催。調印式でATOUTフランス会長のクリスチャン・マンティ氏は「2023年は1823年にラグビーが誕生して200周年の記念の年。多数の来訪者があることを楽しみにしている」と挨拶。ルブーシェ氏も「来るべき2023年に向け、フランスの多様な魅力を発信していきたい」と話した。
調印式にはオード・フランス地方圏青年・観光・スポーツ担当副議長や、リール大都市圏のスポーツ担当副議長らも参加し、フランスRWC組織委員会と合意書を交わした。すでに合意を締結しているオクシタニー地方圏議会副議長も来日し、RWCフランス大会がスポーツを通した観光発信の場であることを示した。
データやテクノロジー活用でプロモーション、日本の旅行会社に期待も
調印式後の本誌インタビューに対しブーシェ氏は、今後の方針や日本市場に対する期待を語った。ブーシェ氏が就任時に掲げたプランは「データ管理による市場動向の分析」「情報のオンライン化による共有」「観光産業のイノベーションの促進」「顧客ニーズの把握とそれを中心とした市場開発展開」「競争力の向上」「パートナーとの連携強化」「ミレニアル世代をはじめ若年層に向けた“新しいフランス”の発信」「MICEの強化」「他業種ビジネスとの連携」「持続可能な開発」の10項目。歴史や伝統、文化や多様性などフランスがすでに持っている力や強みを発展させつつ、ITやSNS、デジタルを駆使して急速に動く世界の潮流に対応しながら市場開発を進める。
現在フランスを訪れるアジア圏の観光客は中国本土の年間約220万人が最大市場で、日本市場はここ数年約55万人から60万人の間を推移。在日経験もあるブーシェ氏は、「当機構と日本の旅行業界は長年にわたり良好な信頼関係を築いてきており、重要市場と認識している」と語り、今回の来日で様々な日本の旅行会社と接したことを受け「日本の旅行業界が求めている情報を、より細かに発信していきたい」とコメント。具体的には、例えばスペシャリスト養成講座内の情報を充実させるなど「マーケティングプラットフォームの整備も考えている」という。
また日仏間では2021年には「日本におけるフランス年/フランスにおける日本年」が予定されているほか、23年にはRWC、24年はパリ・オリンピックと続くことから、「この流れを両国間の大きな発展としたい。日本の旅行会社にはリスクを恐れずイノベーションに取り組み、若年層の興味を引き付ける、旅行会社ならではの新たな開拓を期待している」と語った。