ルフトハンザ・グループが探す「最適」-ブンケンブルク支社長に聞く
3社とANAで「最適な答え」「最適な形」を模索
NDC推進やブロックチェーン活用の今後は
-来春には羽田の国際線昼間時間帯の発着枠が拡大されますが、配分に関してどのような期待をしていますか(取材時は未発表。最終的に独墺瑞の3ヶ国は配分されず)
ブンケンブルク 羽田と成田では空港としての役割が異なり、必ずしも「羽田がすべて」とは考えていない。現在はLHが羽田線の枠を与えられているが、両空港からの路線展開を踏まえた上で、グループ3社による戦略を考慮すれば、現状には満足すべきだと思う。
もちろん、OSとLXによる将来の羽田路線にも興味はあるが、現段階では考えていない。それよりもパートナーのNHを含む、グループ全体での最適な形をめざすことが重要だ。
-NDCの普及に関しては先進的な立場にありますが、日本の現状についてどのように見ていますか
ブンケンブルク 我々のビジョンは明確で、パートナープログラムを推し進めて、契約旅行会社をさらに増やしていく。取組開始から1年間ほどで、約30社と契約できたことには満足している。各社でテクノロジーの導入の仕方やシステムの内容に違いがあるので、日本のすべての旅行会社とパートナーになれるわけではないが、着実に契約を増やしていきたい。
最終的にはアグリゲーターなどを介さず、我々のシステムと直接接続することが望ましいが、無理をせずに進める必要がある。現段階では業務渡航主体のTMC(トラベル・マネジメント・カンパニー)よりも、観光主体の旅行会社の方が相性が良いと感じている。
日本におけるNDC導入の取り組みは遅れているが、日本企業は概して新しいことには慎重で、スピードを持って進めるよりも、段階を踏んで着実に進めたいと考える傾向があると思う。しかし、これは日本の文化に基づく方法論であり、迅速ではなくとも着実に正しい方向に進んでいくと信じている。
今年の4月にNDCの開発に着手したNHとは、開発の段階やビジョンに違いがあるので、現時点でNDCに関する直接的な協力関係はない。ただし、常に意見交換などは実施している。
-新たなテクノロジーの導入に関しては、17年にスイスのスタートアップのワインディング・ツリーと提携して、ブロックチェーン技術の活用にも取り組んでいます。その後の進捗状況をお聞かせ下さい
ブンケンブルク ブロックチェーンについては本社が取り組んでおり、その後の進捗については詳しくないが、間違いなく言えるのは、ルフトハンザ・グループがブロックチェーン活用のための大きな1歩を踏み出しているということだ。そしてこのような技術開発では常に、顧客にどのようなサービスやメリットを提供できるかが重要と考えている。
旅行流通の革新や、デジタル化に関する技術開発については、ブロックチェーンに限らず、多くのプロジェクトを同時に進めている。デジタルトラベル分野の革新に向けて「ルフトハンザ・イノベーション・ハブ」 という研究開発組織を設けており、スタートアップとの連携も強化しているが、現在は欧米だけでなくシンガポールや上海などにも拠点を設けて、多岐にわたる研究開発に取り組んでいるところだ。