ルフトハンザ・グループが探す「最適」-ブンケンブルク支社長に聞く
3社とANAで「最適な答え」「最適な形」を模索
NDC推進やブロックチェーン活用の今後は
ルフトハンザ・グループが組織再編により、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)、オーストリア航空(OS)、スイス・インターナショナル・エアラインズ(LX)の営業部門を統合してから、約4年が経過した。この期間は、その直前に日本・韓国支社長に就任したドナルド・ブンケンブルク氏の日本における歩みと重なるが、ブンケンブルク氏はこれまでと現在、そして今後の日本市場をどのように見ているのか。来春のLXの関空/チューリッヒ線就航 (2001年まで旧スイス航空が運航)が8月に発表されたことを機に、グループとしての戦略を聞いた。
-15年11月に着任された直後に3社の組織再編による部門統合があり、日本での仕事が慌ただしく始まったことと思いますが、まずはこの4年間を振り返ってみて下さい
ブンケンブルク氏(以下敬称略) 支社長に就任して2ヶ月後に3社の営業部門を統合したが、戸惑いはなかった。というのも、就任前の米国勤務時代に統合準備のためのチームを担当し、プロセス作りやさまざまな課題の解決にあたっていたので、日本支社にはスムーズに馴染むことができた。
日本の旅行業界はプロ意識が高く、経験も豊富な方々が多いので非常に仕事がしやすい、というのがこの4年間の感想だ。日本での生活だけでなく旅行なども、十分に楽しむことができている。
-来年の3月にはLXが関空/チューリッヒ線に就航し、その直前の2月には成田/チューリッヒ線にB777-300ER型機を投入しますが、その背景について教えて下さい
ブンケンブルク まず、背景にはLHのアジア戦略の軸となるハブを、フランクフルトからミュンヘンに移したことがあり、これにより19年の夏ダイヤから関空/フランクルフルト線を関空/ミュンヘン線に変更することとなった。しかしこれに伴い、機材をB747-400型機からA350-900型機に変更した結果、座席供給量は23%減少した。
そのようななか、グループ全体で日欧間の旅客数を伸ばしていくために着目したのが、日本/スイス間路線の強化だった。関空/チューリッヒ線は以前から優先度が高い新規路線候補としてあり、あわせてグループで2機のB777-300型機をLXに導入する予定があったため、これを需要が大きいLXの成田/チューリッヒ線に投入し、同路線で使っていたA340-300型機で新たに関空/チューリッヒ線を開設することとした。グループで日欧間のネットワーク拡大と輸送力強化を実現する、パーフェクトな方法だと考えている。
日本市場に限ったことではないが、機材の購入やネットワーク展開、クルーの配置、キャパシティの見積もり、運賃ポリシー、旅行会社との契約といったすべては、あくまでもグループ全体の視点で考えている。例えばネットワーク展開に関しては、フランクフルト、ミュンヘン、ウィーン、チューリッヒという4つのハブを拠点に、グループが一丸となって、どのように事業を拡大していくのが最良なのかを突き詰める。グループの3社だけでなく、共同事業パートナーである全日空(NH)の存在も加えて、最適な答えを探すことになる。