南アフリカ、サビ・サビで過ごす、とびきり優雅なゲームドライブ
世界最高クラスのグランピングを楽しめるサビサンド私営動物保護区
日中はのんびり過ごしデトックス
翌朝は、6時に朝のサファリへ出発。前日はロッジから西へ向かったが、今度は北へ向かった。レンジャーは、顧客がこれまでに何を見たか、これから何を見たいか、昨日どこに動物がいたか、他の車はどこへ行くかといった情報を総合的に判断して、その日に向かうエリアを決める。
動物たちが活動を始める朝ということもあり、この日は出発早々、ビッグ5であるサイの親子や象の群れに遭遇。ティータイム後には、木陰で昼寝をするライオンの群れにも出会い、「ビッグ5」全種を見ることができた。狩りに失敗して、体力を温存しているとのことだったが、のんびりくつろぐ姿は、ほとんど猫のようだ。
9時過ぎにロッジに戻ると、夕方までは自由時間。周辺を歩くウォーキングサファリに参加しても良いし、ロッジでのんびりくつろいでも良い。4歳から12歳までの子供は、子供専門のプログラムを提供するブッシュ・ロッジのエレファン・センターで遊ぶこともできる。
ブッシュ・ロッジとアース・ロッジにはスパも完備しており、全身のアロママッサージを満喫するのもいい。せっかく南アフリカに来たのだからとあくせく動くことはない。ただくつろぎ、まどろんでいれば、動物たちはすぐそこに姿を見せる。全身から日頃の疲れが消えて行く、最高のデトックスとなるだろう。
サビ・サビでしかできないオフロードでの観察
2日目の夕方のゲームドライブでは、カバを探索していたが、進んでいる方向とは逆にヒョウが見つかったという連絡が別のレンジャーから入った。このまま進めば、高い確率でカバに会えるが、前日に暗がりで写真を取れなかった参加者もいたことからヒョウを選択。一刻一刻状況が変わっていくゲームドライブは、まさに野生動物を「見に行く」のではなく「探し出す」と言える。
15分ほど走り、水のない川を越えると車が停まった。見上げると木の上に美しい斑点模様が見えた。車は道路を離れ茂みの中に入る。国立公園内は道路以外の場所に入ることが禁じられているが、私営保護区では草木を傷めない限り、一定の条件下でオフロードに入れる。
レンジャーによれば、前日に見たヒョウの子供だという。レンジャーは、動物たちについての知識が極めて豊富で、家族構成も把握しているのである。やがて、目を覚まして木から下りたヒョウは、猫のように伸びをして、車のすぐ横を通って茂みに消えて行った。夜行性のヒョウは、これからが狩りの時間である。
サビ・サビの料金は、1泊1人あたり1万5000ランドから3万2900ランド。日本円で約12万円から26万円だが、ヴィラでの宿泊費のほか、1日2回のゲームドライブ、日中のウォーキングサファリ、すべての食事と通常のドリンク代などがすべて含まれる。2泊すれば、かなりの確率でビッグ5すべてを見ることができ、ロッジでの優雅な時間も過ごすことができる。
南アフリカのツアーは、ケープタウンなどの主要観光地をまわった後に、1泊または2泊してサファリを2回程度体験するという日程が主流だ。だが、「あれもこれも」見て回るツアーは、メインターゲットであるシニア層にとって時間的にも体力的にも負担が大きい。
サビ・サビのような高級サファリロッジの魅力は、日常生活から完全に切り離されて、動物たちが生きる大自然の中に、身を投じられる点にある。サファリ・ロッジで過ごすぜいたくな時間、それ自体を訴求する滞在型商品も、大きな可能性があると言えるだろう。「優雅・ぜいたく」や「非日常」をキーワードにした商品提案ができれば、長年働いてきたシニア層や、人生の節目を迎えたハネムーン層にとって、一生忘れがたい想い出となるに違いない。
取材:栗原景