タビナカOTAに新機軸、オランダ発、施設チケット専門「Tiqets」が日本上陸
まずは訪日、国内施設契約に注力
使いやすさと利便性で他を圧倒
2019年5月28日、オランダのスタートアップ企業「Tiqets(チケッツ)」が日本への進出を発表した。Tiqetsは世界中の美術館や博物館など2500もの施設のチケットを専門にオンラインで取り扱い、急成長を遂げている企業。日本進出にあたり、既に新国立劇場や東京国立近代美術館など約40の施設と契約を締結。スマートフォンだけで即時予約、入場できるシステムが売りだ。しかも、日本支店代表はベルトラ創業者の荒木篤実氏。日本のタビナカに変化をもたらしてきた荒木氏がTiqetsにどのような可能性を見出し、どのように舵を取るのか。これまでの取り組みや今後の展望について聞いた。
荒木篤実氏(以下敬称略) ジャンルでいうとOTAで、OTAも様々だがTiqetsは主にツアー&アクティビティの分野を扱う。この分野のOTAはほかにViator、GetYourGuide、そしてベルトラなどがあるが、これらは対象とするサプライヤーに制限を設けず総合的に扱うのに対し、Tiqetsは美術館や博物館などの「施設」に焦点を当てている。
施設に限定するメリットのひとつは、施設が「逃げない」こと。ガイドツアーにおけるトラブルの4割から5割は集合場所に関するもの。他社との意見交換でも「集合場所に行ったのに誰もいなかった」という問題が多いと聞く。しかし、施設ではこのようなトラブルが起き得ない。東京タワーもバチカンミュージアムも「その施設がなくなる、逃げる」ということはない。これにより業務効率が良くなる。
次に、施設は美術品や芸術作品を鑑賞できるだけでなく、施設そのものが文化を体験させてくれる場所だ。旅行で大事なのは、旅行者や国内の人にその国のカルチャーを伝えることだと考えている。しかし、これまで「カルチャー」にスポットを当てることから多くのOTAは逃げていたように思う。そうしたなかで、Tiqetsでは敢えて「カルチャー」に着目した。専門的OTAとしてのポジションを作り上げているのは、ユニークだと思う。
荒木 すでに2社間で業務提携をしている。私見だが、基本的にはベルトラとTiqetsで棲み分けていくことになるのではないか。Tiqetsは既に、欧州の人には「世界中の美術館に行くなら『Tiqets』以外に良いサービスはない」と認知されている。施設の専門的OTAであるTiqetsの要素をベルトラがうまく活用できる可能性はあると思う。