専門性で生き残る:バードウォッチングツアーのワイバード
20年間の大手勤務後に起業、国内唯一の専門会社
「お客様株主」味方に第1種登録、業務を拡大
-現在の業況について教えてください
山本 事務の内勤スタッフが4名、ガイドは専属のバードガイドが4名、業務委託のガイドが約10名という布陣です。年間の取扱人数は約1300名、売上高は約1億5000万円で、その3割が純利益となっています。
-主力商品やヒット商品などはありますか
山本 「すべてが主力商品」ではないでしょうか。1年間に約100本を商品化しているツアーの催行率は90%と高く、多くのお客様からのご支持をいただいており、日帰りバスツアーから南極旅行まで、どれもがヒット商品と言えます。
ちなみにワイバードは第2種旅行業者として立ち上げたので、当初は国内ツアーのみを実施していました。しかし年々、参加者から海外ツアーをリクエストされることが多くなり、しかも「それが叶うなら出資してもよい」と複数のお客様からご提案いただいたので、それをヒントに第1種旅行業者になるための「お客様株主」を広く募集しました。その結果、111名のお客様から30万円ずつ、合計3330万円を出資していただき、07年に登録を変更することができました。
株主になっていただく際には、旅行代金5%引きのインセンティブをお付けしました。ありがたいことに多くの株主様が年間5回以上もツアーに参加してくださるので、それだけで延べ500名超を集客でき、資金面のみならずツアー催行率を上げる効果も得られました。
-主な顧客層についても教えてください
山本 年齢は団塊の世代とその少し上が多いです。鳥を観るためには目や耳を研ぎ澄まし、適度に頭を使って自然のなかを歩くので、健康的なシニアが多く、長生きの秘訣にもなっていると思います。ちなみに、日帰りのバスツアーなどはリーズナブルな価格設定ですが、旅行代金が高くなる海外ツアーは、金銭的に余裕のある人たちが多くなります。
お客様の傾向としては、あくまでも趣味の世界とはいえ、「死ぬまでに1種類でも多くの鳥を観たい」という熱心なファンが多いです。とにかく「鳥を観ること」や撮影が目的の方ばかりなので、現地の鳥の状況により観察場所を変えたり、極端なケースでは急遽ホテルを変えても不満が出ることがないので、旅程管理の概念が通常のツアーとは違うかもしれません。