KNT-CT、引き続き「個人旅行立て直し」に注力、3つの課題
KNT-CTホールディングス(KNT-CT)は5月27日に都内で、第17回目の「海外旅行交流コンベンション」を開催した。同イベントは観光局や航空会社、ホテル、海外ランドオペレーターなどのパートナー企業・団体との協力関係の強化に向けて、毎年実施しているもの。今年はパートナー159社・団体から282名が、KNT-CTグループからは125名が参加し、51のブースで商談や情報交換を繰り広げた。
開会にあたり挨拶した代表取締役社長の丸山隆司氏(※隆は生の上に一)は、昨年の海外旅行の取扱人数がアジアや欧州、ハワイなどの好調により前年比9%増となり、売上・利益ともに増加したことについて謝意を表明。その上で、引き続き事業構造改革とその基本方針の1つである「個人旅行の立て直し」に務める考えを強調した。
個人旅行の立て直しに向けた課題としては「ウェブ販売の強化」「KNTとクラブツーリズムの一体化」「商品の企画・造成」の3つを列挙。KNTとCTの一体化については、予定するウェブサイトや顧客データベースの統合に加えて、すでに開始済みのKNT店舗でのCT商品の販売拡大についても推進する考えを示した。また、商品の企画・造成については「OTAにはできないテーマ性の高い着地型商品の造成」に取り組むとし、「海外旅行の持続的成長でトップラインを引き上げる」と意欲を示して挨拶を締めくくった。
なお、KNT-CTは5月10日に開催した記者会見で、6月19日の定時株主総会などを経て、現近鉄グループホールディングス取締役常務執行役員の米田昭正氏が新社長に就任するとともに、丸山氏は代表取締役会長に就くことを発表。丸山氏の後に登壇した米田氏は、米国で携わったホテル事業での経験などについて述べた上で、「二人三脚で業務を進めたい」と語った。
そのほか、取締役グループ事業推進本部長の池畑孝治氏は、売上総利益率の引き上げの必要性を強調。「出るもの(費用)を500円、1000円でも削減し、一方でお客様には価値のあるサービスを提供して500円、1000円と上積みをはかってほしい」と社員に呼びかけた。海外旅行部長の河野淳氏は「OTAの伸長などがありながら、最近(の海外旅行)は少しずつ右肩上がりになっている。一方で色々なことがありすぎ、“本質”を見失っているかもしれない」と指摘。ウェブ・リアル店舗にかかわらず、長期的な視点で、利用者を引きつける商品や企画、その見せ方を考え続けることを訴えた。
なお、KNT-CTの18年度の海外旅行の売上高は7.1%増の1623億6900万円。夏季の自然災害続きで国内旅行が3.1%減の2323億1000万円、訪日旅行が23.8%増の171億4100万円、合計が1.6%増の4118億2100万円となったなかで、全体を牽引した形となった。