中央ア・カザフスタンへの定期便実現か-来日したSCAT航空に聞く

前大統領のひと声で日本就航計画が加速
現地航空大手2社が候補に

 DVは1997年に創業。保有する約20機で国際線16路線・国内線26路線を運航し、同国ではKCに次ぐ規模を誇るとともに、スィトニク氏によればチャーター便の運航実績などではKCを上回るという。国際線はロシアなどの旧ソ連諸国に加えて、中国やトルコなどにも就航。6月には新たに週2便のヌルスルタン/ウランバートル線を開設する予定で「そのすぐ先にある日本への就航も、より現実味を帯びている」といい、運航に要する機材や人員、日本でのパートナー確保などの課題についてはいずれも「クリア可能」との見方を示す。

 日本の関係者との接触については「いずれも非常に実りあるものだった」と感触を説明。国交省については「対応は非常に丁寧で、就航についても前向きだった。今後は日本のルールに則り、粛々と手続きを進めたい」と述べ、JATAについては「カザフスタンに関する共同セミナーやファムツアーなどの実施に向けて、ご協力いただけるとの話だった」と伝えた。なお、本誌の取材に応えた国交省によれば「まずはプログラムチャーターから始めて、定期便化につなげたいと聞いている」という。

 就航が実現した場合の利用者はビジネス4割・レジャー6割と予想。業務渡航については「カザフスタンには既に多くの日系企業が進出しており、今後も経済交流は拡大する」との見方を示し、観光については「国内線のネットワークを活かして、主要都市を効率良く周れるツアーで強みを見せたい」と語る。日本支社の設置やGSA契約などについては未定だが、販売チャネルについては「ウェブサイトでの直販から旅行会社経由の販売まで、すべてのチャンネルをオープンに考えたい」という。

 日本発とカザフ発の割合については「現段階では予想できないが、両国に情報提供して半々をめざしたい」と希望を語るともに、「日本人はビザを免除されているがカザフ人は必要なので、できれば要件を軽減していただきたい。カザフ人はあまり時間をかけて旅行の準備をする国民性ではないので阻害要因になる」と要望。なお、このほどカザフ人に対してビザを免除したアラブ首長国(UAE)を訪れたDVの利用者は、免除前に比べて5割増加したという。

 なお、KCによる同じく週2便の成田/ヌルスルタン線開設計画も報じられるなか、チャーター便を含めて日本への飛来実績がない2社が同時期に日本に就航するとは考えにくいが、このことについては「2社は現在、同じスタートラインに立っていて、両方が路線を開設することはないが、片方は必ず飛ぶ」と状況を説明。KCについては「競合相手ではあるが交流はあり、どちらかが日本線を開設できれば、両方に取ってプラスになる」と柔軟な姿勢を見せた。

 ちなみにDVの日本連絡事務所を務めるチンギスハーン旅行によれば、DVの就航計画については「前倒して7月に運航する話も入ってきている」とのことで、運送事業経営許可申請と並行して、B767型機でプログラムチャーター便を水曜日と土曜日の週2便就航し、そのまま同機材・スケジュールで定期便化する計画という。最終的にどちらの航空会社がどのような形で就航を実現するのかは分からないが、日本/カザフスタン間の路線開設がこれまでよりは現実味を帯びてきていることは確かと言えるのではないだろうか。