エムオーツーリスト「カクタス支店」発足、その背景と今後の見通し
石油元売り最大手のJXTGグループでインハウス旅行会社として業務渡航関連サービスを提供してきたカクタス航空が4月1日付で、親会社であるエムオーツーリストに旅行業務のすべてを移管し、エムオーツーリストの「カクタス支店」として営業をスタートした。カクタス航空はエムオーツーリストの傘下に入ったのは2003年だが、それ以降もJXTGグループを中心に業務渡航や、強豪である社会人野球と女子バスケットボールチームの遠征や合宿などの関連業務、団体旅行などを手がけてきた。
カクタス航空の買収から約15年の時を経て「カクタス支店」発足に至った経緯について、エムオーツーリスト常務取締役でカクタス航空の代表取締役社長も務める島本啓太郎氏は、業務渡航界隈におけるIT化の波が大きいと説明する。Concurに代表される経費管理システムやOBT(オンライン・ブッキング・ツール)を導入する企業が増えるなか、カクタス航空としても主要取引先であるJXTGグループにその波が訪れたのだという。
これに対して。エムオーツーリストは2017年に「BTM営業推進部」を立ち上げてこうした潮流に対応してきており、エムオーツーリストのシステムとノウハウをカクタス航空へ効率的に導入するために今回の業務移管が決まった。
「カクタス支店」の発足に伴い、カクタス航空に勤務する社員約20名がエムオーツーリストへ出向。カクタス航空常務取締役の荒井勝博氏は、「新体制によるサービスの向上策や新システムの活用について、積極的にフォローしていきたい」としている。また、支店化後、これまでカクタス航空を利用していた顧客に対しては、「基本的に担当者を変えることはせず、既存のお客様には同じ社員が対応する」(荒井氏)。
支店名を敢えて「カクタス支店」にしたのも同じ理由で、「長年にわたるお付き合いの中で、“カクタス”の名に親近感を持たれるお客様もいる」(島本氏)ため。多くの顧客に親しまれている「カクタスブランド」を維持しながらも、島本氏は「ITを駆使したシステムを円滑に導入し、お客さまへより良質なサービスを提供していきたい」という。
BTMに注力しつつも「フェイス・トゥ・フェイス」継続