地方路線で存在感、アシアナ子会社のエアソウルはこんな会社

  • 2019年5月8日

サービス面やOZとの連携などで差別化
日本代表に聞く生き残り策と売却後の取り組み

 日韓路線は現在、FSCに加えて韓国系6社・日系1社のLCCがひしめき合い、激しい競争が繰り広げられている。そのなかで、2016年に初めて日本就航を果たした後発LCCながら、地方路線を中心に存在感を増しているのが、アシアナ航空(OZ)子会社のエアソウル(RS)だ。同社の日本市場における現況と今後の戦略について、日本代表を務める東京支店長の金玉鉉(キム・オクヒョン)氏に話を聞いた。

―OZの子会社として設立された経緯と、これまでの歩みを教えて下さい

金玉鉉氏(以下敬称略) OZは韓国第2の航空会社として1988年に設立されて以来、安全とサービスのクオリティを重視し、2010年にはスカイトラックス社の「エアライン・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、数多くの賞をしながら事業を拡大してきた。しかしLCCが台頭して旅行者の安さへの要望が高まってくると、サービスを重視するOZの方針と、安さを実現するためのコスト削減はなかなか相容れず、OZとして対応が難しいことがはっきりしてきた。そこで2015年に新たなLCCとしてRSの設立に踏み切った。

 当時のOZは韓国の航空会社では最も数多く、日本の地方都市への路線を運航していたが、その多くは低収益路線だった。しかしクムホアシアナグループとしては、日韓の人的交流を拡大し、日本の地方の観光産業を活性化したいという思いがあるとともに、これまで各地方自治体との間に築いた強力な信頼関係を維持したかったので、RSはグループの一員として、LCCの方が効率的と考えられる地方路線に積極的に就航することになった。

 16年に高松線を開設したのを手始めに、現在は新千歳、成田、静岡、富山、関空、広島、米子、山口宇部、福岡、熊本、那覇の12空港に乗り入れている。RSは国際線専門で海外の19都市に就航しているが、日本はその3分の2近くを占める。

 ちなみに、同じグループに属するエアプサン(BX)は、OZに加えて釜山市などが出資しており、単なるLCCというよりは釜山と大邱を拠点とする地域航空会社と位置づけている。従って、仁川を拠点に国際線のみを運航しているRSとは、棲み分けができていると考えている。