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SNSで地域も宿も自らも輝く 人気ブログで発信する若女将座談会(4) 旭堂南龍さんと上方文化を体感

 座談会終了後、若手講談師として関西で人気を集める旭堂南龍さんの講談の会を開催した。南龍さんは「左甚五郎・旅日記」「仮名書きの詫び証文」の演目を披露。若女将らは初めての講談に聴き入っていた。

 「左甚五郎旅日記」は、江戸時代初期に活躍したとされる伝説的な彫刻職人・左甚五郎が無銭飲食した宿屋で、宿代の代わりに精巧な作品を作りあげる物語。各地に左甚五郎作と伝わる作品は百カ所近く点在するが、なかでも日光東照宮の眠り猫は有名。

 とはいっても若い女将らにとって左甚五郎は、誰かもわからない存在のようで講談の内容を理解できるのか心配したが、そこは声色を七変化させる南龍さんの話術のみせどころ。物語の内容が宿ということもあり、講談終了後には「旅館業に携わる者として江戸時代の宿の雰囲気が目に見えるようだった」と南龍さんの講談に感激していた。

 「仮名書きの詫び証文」は江戸・元禄時代の赤穂浪士の一人、神崎与五郎と馬子の丑五郎の話。丑五郎に因縁をつけられた神崎与五郎は正体がばれるのを恐れ、丑五郎の因縁に詫び証文を書く。後日、因縁をつけた武士が神崎与五郎だったことを知った丑五郎は、与五郎がねむる泉岳寺まで非礼を詫びにいくという内容だ。

 ここでも赤穂浪士を知らない若女将たちだったが、酔っ払いの丑五郎、武士の神崎与五郎の動と静の語りを巧みな話術で表現する南龍さんの名人芸に聴き入っていた。

 「どうすればあのように違った2人を演じ分けられるのですか」「2人の主人公が同じ人が話しているとは思えない」と講談が終わったあと、南龍さんに質問していた。

 講談のあとは南龍さんが案内人となってミナミを散策。外国人の多さに驚きながら道頓堀のド派手な看板を見入った。うどんの名店「今井」の脇から入る浮世小路は、道頓堀の喧騒とは打ってかわって石畳の静かなたたずまい。狭い路地の両側には江戸時代から昭和初期までの古き良き時代の大阪を再現したディスプレイがあり、漫才で一世を風靡した横山エンタツ・花菱アチャコの写真も展示してある。ここで南龍さんからミナミがジャズ発祥の地であることなどの説明を聞いたのち、法善寺横丁に出て、法善寺の水掛不動をお参り。若女将は一人ずつ順番に、不動さんに水をかけて安寧を祈願した。

 懇談会は法善寺横丁に並ぶ上かん屋久佐久で。南龍さんを若女将らが囲んで、どのようないきさつで旅館に嫁ぎ若女将になったのか、それぞれが感じる宿屋のあり方などについて、話題豊富な若女将らが面白おかしく持論を披露。わいわいやっているとあっという間にお開きの時間。南龍さんと一献傾ける場を定期的に開くことを約束して、次回の再会に楽しみをつないだ。

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情報提供:トラベルニュース社