昭文社のタビナカ事業「MAPPLEアクティビティ」、そのめざすところと現在地

商品ラインアップを大幅増強、今年は売上8倍も

ハワイのラウンジ

 現在は宣伝や広報、リスティング広告などにより顧客を獲得しているところで、「対象エリアの拡大と商品力の強化」(和田本部長)が課題となっていることから、18年3月にはサービス対象エリアを一気にアジアと欧州へと広げ、24エリア50都市を加えることで合計27エリア53都市の現地オプショナルツアーを取り扱う規模とし、日本人海外旅行者の上位デスティネーションの約8割をカバーする規模となった。現在はさらに32エリア126都市まで拡大している。

 商品力の強化については「当社とツアー主催者の直接契約に加えて、旅行会社のホールセールも活用し、トータルでは500社のツアー主催者の商品をラインナップしている」(デジタルメディア事業本部デジタルメディア事業部デジタルメディアグループの和田史子氏)。

 利用促進にも取り組み、今年2月からはNTTドコモが提供する「dポイント」と連携し、ハワイ現地ラウンジでのオプショナルツアーの予約に関し「dポイント」を使ったり貯めたりできるサービスを開始。メタサーチの「トラベルコ」への情報掲載もおこなっているほか、SEOにも継続的に取り組んでいる。こうした取り組みもあって「ハワイ、グアム、アジアを中心に売り上げが好調で、この1、2月の実績は前年同期の7、8倍まで伸びている」(和田本部長)とのことだ。

インスタ映えをテーマにしたグアムのオリジナルツアー

 今後について和田本部長は、「さらなる事業拡大のため単に商品を幅広く揃えるだけでなく、独自性を持った商品による差別化が重要で、ハワイやグアムを中心にツアー主催者と連携し新たな商品作りにも挑戦していく。すでに一部、当社限定のオリジナルツアーを実現しているが、さらに拡大したいし、ツアー主催者側からも『一緒にやりたい』の声が届いている」と手応えを語る。さらにインバウンド向けの国内商品の拡充や、「OUT 2 OUT、つまり海外デスティネーションにおける日本人以外の旅行者へのサービス提供」も将来的には考えているという。

 一方で課題に挙げるのはオプショナルツアーの分野では依然としてアナログによるビジネス運営が幅を利かせており、ツアー主催者は小規模資本が多くデジタル化が遅れている点だ。その結果、リクエスト予約の文化が根強く残り、問い合わせと回答のプロセスがオンラインビジネスに馴染みにくい課題がある。このため「MAPPLEアクティビティ」では、システム自体をツアー主催者に配り、「できるだけ人を介さずに作業を進められる体制をサポートすることでレスポンスの向上をはかることも検討していきたい」(和田本部長)としている。