旧Handy、新OTA立ち上げ「総合化」へ、hi Japanへ社名変更
ホテル宿泊者が無料で利用できるモバイルデバイス事業などを手がけるhi Japan(旧称Handy Japan)が2月19日、東京ビッグサイト会議室で記者発表会を開催し、新たに社長に就任したピーター・リー氏が社名変更に伴う事業戦略を発表した。今年第2四半期に新たなOTA(Online Travel Agent)を立ち上げ、プランニングから予約、現地での旅行体験、そしてSNSでのシェアまでを包括的にカバーする事業を開始する。
hi Japanが従来から展開しているモバイルデバイス事業「handy」は、日本国内約1700施設のホテルに導入されており、24万室で稼働中。特に東京では6割のホテルが導入済みであるなど、年間8700万人へのリーチが可能な状態にある。Handy利用者から得られる旅行者動向のビッグデータを活用し、旅行者とパートナーホテルに対して旅行に関するあらゆる旅行情報を提供していく。
リー氏は、これを「ハードとソフトの両面から実現した、新しいビジネスモデル」と説明。「Life is short. さあ、今すぐ旅に出よう」をコーポレートブランドとし、「hi Japanは総合旅行プラットフォーム企業に変革を遂げた」と表明した。
具体的なサービスについては発表しなかったが、今後はスマートフォンやPCを使ったプランニング段階での情報収集をはじめ、ホテル予約、現地でのアクティビティやお土産の予約・購入にも対応。SNSでのシェアにもカバーするなど、旅を思い描いてから帰宅後までのあらゆる情報サービスを、すべて自国の言語で利用できるようにするという。
また、リー氏は記者からの質問に答える形で、エクスペディアとプライスラインでも売上高は旅行業界全体の5%に満たないと指摘。OTAには伸びる余地があり、プラットフォームだけでなくハードを持っているhi Japanの強みに自信を示した。
記者発表には、日本政府観光局(JNTO)の山崎道徳理事と、ザ・キャピトルホテル東急の末吉孝弘総支配人も出席。山崎氏は、政府が掲げる2020年度に4000万人の訪日外国人を迎えるという目標達成に、hi Japanの事業が大きく貢献すると期待を表明した。
一方末吉氏は、ザ・キャピトルホテル東急が日本で2番目にhandyを導入したが、当初懸念された盗難などのトラブルは導入以来1台もないことを紹介。全客室に導入され、訪日外国人旅行者を中心に50%から70%の宿泊客が利用しているという。また、hi Japanのサービスにはこれまでホテルが捉えることができなかった滞在中の旅行者の動向や嗜好といった膨大なマーケティングデータが詰まっており、サービスの向上に役立つと指摘。
災害発生時にも、handyを通じて必要な情報を宿泊客の言語で伝えられるため、フロントなどの混乱を防止できるといった利点も紹介した。