ゲンティンクルーズ、3ブランド体制でアジア発クルーズ需要を牽引
創業25年で年間100万人規模に
牽引役のドリームクルーズ、20万トン級2隻投入も
20万トン級のクルーズ船を2隻建造中
25年間でアジア最大のクルーズ会社に成長したゲンティンクルーズラインは、すでに次の25年に向けた成長戦略をスタートさせている。「ゲンティン香港25周年記念イベント」の挨拶でタン・スリ・リム・コック・タイ会長は「次の25年にわれわれは、3つのクルーズラインが保有する最も優れたクルーズ船を使い世界の海でクルーズを運航し、アジア1億5000万人の旅行者に数多くの魅力的なクルーズ体験を提供することをめざす」とゲンティンクルーズラインの未来を展望。今後の新造船投入計画も明らかにした。
それによると、ドリームクルーズでは新たに世界最大級となる20万4000トンの超大型船を「グローバルクラス」のクルーズシップとして1隻当たり18億米ドルをかけて2隻建造中で、21年と22年に相次いで投入する予定だ。また、これまで「スーパースター・ヴァーゴ」として運航していた7万5000トン級の船を3000万米ドルかけて全面改修し、「パレス」のスイート50室も設けて、新たに「エクスプローラー・ドリーム」として19年3月からドリームクルーズに投入。アジアの海域を越えてオーストラリアとニュージーランドを母港に新たなクルーズを開始する。新造船の投入等によりドリームクルーズは21年までに収容人数を2倍以上に拡大する計画だ。
またクリスタルクルーズについても、20年には2万トン級のメガヨット型のクルーズシップを「エンデバークラス」として北極海クルーズなどに投入し、22年には6万7000トンのクルーズシップを6ツ星サービスの「ダイヤモンドクラス」として投入するとしている。さらにスタークルーズについては23年に「コンテンポラリークラス」のクルーズシップの投入も計画している。
こうした新造船や船体改修のために15年にはメガヨットなどを建造するドイツの「ロイドヴェルフト造船所」を、16年には20万トン級まで建造できるドイツの造船会社「MVヴェルフテン」を買収し、世界で唯一の造船会社を所有するクルーズ会社として新造船投入計画のための盤石な体制を整えている。
「ゲンティン香港25周年記念イベント」で来賓として挨拶したシンガポール政府のチー・ホン・タット貿易産業教育省上級国務大臣によると、アジア発のクルーズ市場は17年に前年比20%増の400万人を超えて史上最高を記録しており、「2035年には東南アジア発だけで450万人に達する見込み」だという。この巨大なクルーズ市場の存在を追い風に、ゲンティンクルーズラインは今後ますます大きく飛躍する可能性を秘めている。