JTB交流創造賞、第14回最優秀賞は旭川市の「車いす紅蓮隊」
JTBグループはこのほど、2018年8月から9月にかけて募集した「第14回JTB交流創造賞」の受賞作品を発表した。同賞は地域に根ざした持続的な交流の創造や各地の魅力の創出、地域の活性化などに寄与した事業や体験記などを表彰するもの。これまでは「JTB交流文化賞」として実施していたが、昨年4月の組織改編の際、事業ドメインを「交流文化事業」から「交流創造事業」に変更したことに合わせて、賞の名前も変更した。
賞は地域の組織・団体の取り組みを対象とする「組織・団体部門」、一般旅行者の体験記を対象とした「一般体験部門」、小中学生の作文を対象とする「ジュニア体験部門」の3部門を募集。「組織・団体部門」の最優秀賞は、北海道旭川市の車いす紅蓮隊・カムイ大雪バリアフリーツアーセンターによる「障がい当事者がリードする誰にもやさしいまちづくり」が選ばれた。
車いす紅蓮隊は、トリノ2006パラリンピックをきっかけに設立。06年4月から旭川市を拠点に「障がい当事者がリードする誰にもやさしいまちづくり」に取り組んできた。10年には同団体の活動を支援する地域の大学関係者や病院、介護施設、旅行・宿泊関連企業、観光協会、市民団体などで高齢者や障がい者の旅をサポートする「カムイ大雪バリアフリーツアーセンター」を設立している。
JTBによれば、障がい当事者がさまざまなパラスポーツの大会や合宿の招致、イベントの企画運営などに関わり、周囲の人々と連携して地域づくりに取り組んでいる点を評価。障がい者の雇用を確保しつつ、事業収入を財源にパラスポーツと観光イベントをプロデュースする体制を構築している点、パラスポーツによる訪日観光の新しい市場創出につながることが期待できる点も受賞理由として挙げた。
また、同部門の優秀賞として、兵庫県姫路市のふるさとかかし親の会による「かかしによる『日本のふるさとの原風景』」の再現・・・『奥播磨かかしの里』」と、新潟県佐渡市の佐渡芸能伝承機構による「祭りがつなぐ佐渡の現在・過去・未来―民俗芸能を通じた地域と大学の交流活動」を選出。「一般体験部門」の最優秀賞は宮森庸輔さんがバングラデシュの旅での体験を記した「ジャクルと雨とカステラと」で、このほか優秀賞を2作品選んだ。
「ジュニア体験部門」の最優秀賞は小学生の部が田井七海さんの「道あん内のススメ」、中学生の部は池田幹央さんの「第二のふるさと」を選定。各部それぞれで優秀賞2名と入選5名を表彰した。
なお、今回の応募数は「組織・団体部門」が20作品、「一般体験部門」が66作品、「ジュニア体験部門」が721作品で、合計は807作品に上った。