週間ランキング、1位はJALの新LCC-「LGBT×東北」FAMに同行しました

[総評] 今週の1位は、日本航空(JL)が計画している新LCCに関する続報となりました。新LCCは中長距離国際線を事業ドメインとして2020年の就航をめざしており、今回は準備会社の設立をお伝えしたものです。正直なところ準備会社ができた以外に目新しい情報はないのですが、逆にそれだけJLグループの注目度が高いということを実感します。

 ブランド名なども今後発表予定ということでまずは待つしかないわけですが、準備会社の社名は「ティー・ビー・エル」としており、何かというと「To Be Launched」の略とのことで、個人的にはなんとなく小洒落た印象を受けました。

 小洒落ることはもちろん悪いことではありませんし、そもそも準備会社ですし、批判するようなつもりもありません。

 ただ、ライバルとなるANAホールディングスのピーチ・アビエーション(MM)は、その社名(ツーレター含め)やコーポレートカラー、代表取締役CEOである井上慎一氏の言動など、徹頭徹尾ぶれることなく自分たちの道を歩み、それが成功に結びついてきているわけで、それに比べると「TBL」からはフワフワとした雰囲気が感じられる気がしています。

 まあこんなことを書いていますが、MMがピーチを社名にした時には失敗するのではないかと見誤った人間ですし、MMの準備会社名も「A&Fアビエーション」でおそらくANAと事業パートナーであるファーストイースタンの頭文字を取っただけだったはずですし、重要なのはこれまでにどのような検討がなされ、これからどのように準備をどう進めるかでしょう。その意味で、TBLの代表取締役を任された西田真吾氏の舵取りはこれから非常に注目が集まっていくはずです。

 またランキングとは関係ありませんが、今週は個人的に、トラベルビジョンの兄弟会社であるアウト・ジャパンが一端を担った、LGBTの方々に東北の復興状況や観光資源をご覧いただくFAMツアーを同行取材する機会を得ました。

 もともとは復興庁の「『新しい東北』交流拡大モデル事業(広域型)」に、広告会社の新通とアウト・ジャパンが共同提案して選定されたもので、東北6県でLGBTツーリズムについてのセミナーやFAMツアーの実施、特設サイトの開設、実際のツアー造成などに取り組んでいます。

 今回はこのうちFAMツアーに同行したわけですが、参加されていたのは世界各国から集まった旅行関係、あるいはインフルエンサーのゲイの方11名でした。宮城県の松島や山形県の山寺を訪れたほか、津波で甚大な被害を受けた宮城県の閖上地区の視察もし、さらにわんこそばや座禅なども体験されました。

 振り返って印象的だったのは、参加者の皆様がとにかく素敵な笑顔をされること、そして好奇心旺盛なことでした。笑顔については下掲の写真の通りですが、自分は最近こんな笑顔で笑っただろうか、と思ってしまったほどです。

 また、好奇心については、視察中のガイドへの質問はもちろんのこと、例えばバス移動の休憩でサービスエリアなどに立ち寄るたびに、パッケージの雰囲気だけでお菓子や飲み物を購入してとりあえず試してみる、という姿が見られました。他の訪日FAMツアーをよく知りませんのでLGBTに限った話ではないかもしれませんが、こうした旅行消費の姿を目の当たりにできたことは強く記憶に残りました。

 もう一つ、震災から7年が過ぎたこのタイミングで東北にお邪魔できたことも大変感謝しています。発生直後のゴールデンウィークに福島と宮城に行ったきりになってしまっていたのですが、閖上地区の視察では復興の歩みは感じつつも、遠く広がる更地にはただ寂寥感を覚えるしかなく、当時感じていた無力感というか、皮膚感覚を取り戻すことができました。

 LGBTについては自民党議員の愚かさが耳目を集めつつもそういった本音を隠し持つ有権者の存在が感じられ、一方で東北の観光振興はLGBTどころかインバウンド自体がまだこれから、というような状況ですが、旅行に携わる身としてこれから何をすべきか、何ができるのか、を考えることができたのは、今年一番の収穫であったと感じています。(松本)

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